改訂新版 世界大百科事典 「感温性」の意味・わかりやすい解説
感温性 (かんおんせい)
作物の出穂や開花(そのもとになる幼穂や花芽の分化・発育)が温度によって影響される性質をいい,一般に高温で促進され,低温で遅延する。感光性とともに作物の早生(わせ),晩生などの早晩性を決める重要な要因とされているが,温度の影響には,単なる温度の上昇による一般的な生育促進に帰される部分もあり,感光性に比べると品種による特異的な反応の違いは概して小さい。また,その本質も必ずしも明らかになっているとはいえない。しかし,実際の品種の早晩性や栽培地域などを判断するうえでよい指標となるため,イネやムギなどでは古くからその程度が調べられ,利用されている。その方法は,屋外で栽培した場合と温室など高温条件下で栽培した場合との出穂までの日数の差を調べ,これをもとに感温性の程度を表示してきたが,この方法だと日長の影響が加わるので,その作物の出穂に最適な日長条件を人為的に設定し,その温度の違いによる出穂までの日数の差を調べ,これを指標とする方法などもとられている。
執筆者:増田 澄夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報