生育期間が短く,早い時期に収穫期に達する作物品種の遺伝的な特性。反対の性質である晩生(おくて)と中間の中生(なかて)を含めて作物栽培上重要な特性となっている。早生になると生育期間が短くなるので,一般的傾向としては収量が低下する。しかし厳しい自然環境の条件下では,生育期間が短い早生のほうが有利である場合も少なくない。またハウス栽培を含めて,野菜では早い時節の出荷は市場で高く評価されるため,収益が飛躍的に増加することが多い。このようなことから,早生でしかも収量性の高い品種の需要が多い。日本での水稲の普及品種をみると,西南暖地のほうが東北,北海道に比べて晩生の品種が多い。これは気象条件の変化に対応するものと考えられるが,早生品種と晩生品種を交配して雑種集団をつくり,自然淘汰にまかせても同じ傾向がみられる。品種の早晩生はそれぞれの植物に遺伝的にそなわっている感光性(日長時間によって花芽の形成が支配される性質),感温性(高温,低温などによって花芽の形成が支配される性質),基本栄養生長性(感光性,感温性について最適条件を与えても,なお花芽形成に一定の生育期間を必要とするという性質)などによって規定される面が強い。感光性や感温性を失った品種は早生となることが多いが,同時に季節に対する感受性を失っているので,時なしとか,四季咲きとかいわれ,季節を選ばない栽培によく利用されている。
執筆者:武田 元吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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