慈泉寺
じせんじ
下無頭の高台にある。清金山大谷院と号し、真宗興正派。本尊は阿弥陀如来。「讃岐国名勝図会」に「大永年中沙門祐善建立」と記される。寺伝によると、祐善は長尾大隅守の後裔で、慶長年間(一五九六―一六一五)に入寺して以来、その血脈によって法灯が守られてきたという。明治六年(一八七三)に佐岡寺が廃寺となったとき仏像は当寺に寄託されたが、昭和六年(一九三一)に佐岡寺の再興が許されて本堂が再建されると、諸仏をことごとく返還して一仏をも残さなかった。本堂内にある納骨室に阿弥陀如来と並んで千手観音が祀られている。像高一七・五センチの坐像で、鎌倉期の作と推定される金銅製の御正体と、江戸初期の作と推定される木造の脇手と持物と光背をはぎ合せ、同時に作られた高さ二八・五センチの九重の蓮華座にはめこんである。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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