出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…このように古典力学の運動方程式はすべて(1)~(3)式から導かれるものといってさしつかえない。回転運動
【相対運動】
ニュートンの運動方程式(1)~(3)式は慣性系でなりたつと考えているので,これに対して加速運動をしている座標系で運動方程式を同様の形に表した場合,右辺に見かけの力すなわち慣性力が現れる。例えばある慣性系Kに対しξの加速度をもって運動している座標系K′での物体の加速度a′はKではa′+ξになるからm(a′+ξ)=Fがなりたち(右辺の力Fの方は絶対的な意味をもち,座標系の運動によって変わるものでないと考える),これをニュートンの運動方程式の形に書くと,ma′=F-mξとなるから,K′では加速度と逆向きの力-mξが余分に働いていることになる。…
…この力を遠心力といい,物体といっしょに同じ角速度で回転している場合のみに感じられる力である。このように遠心力は,回転を静止のようにみなそうとするために感ずる見かけの力で,発車や停車のときに電車内で感ずる見かけの力と同じく,物体の慣性に起因する仮想的な力(慣性力という)の一種である。慣性抵抗【小出 昭一郎】。…
…これに対してゆれたり回転している場合は,力が作用しなくても加速度を生ずるように見える。この見かけの加速度を生じさせる見かけの力(座標系の加速度をaとすると-ma)のことを慣性力といい,遠心力はその一例である。【小出 昭一郎】。…
…この力は加速度系でのみ観測される見かけの力であり,実際に質量mの人が電車に静止し続けるためには力maが必要であるが,これを見かけの力-maとつり合わせるためと考える場合がある。この見かけの力を慣性抵抗ということもあるが,ふつうこちらは慣性力force of inertialということが多い。遠心力も慣性力の一種である。…
…このことに着目すると,仮想変位δxi(運動方程式に従って生ずる変位とは無関係で束縛条件の許す範囲でまったく任意)に対し仕事をなす力を,とすることにより,運動方程式(1)そのものが導かれることになる。この場合,を質点iに働く力の一種とみなし慣性力または慣性抵抗と呼ぶ。その結果,質点系の運動は各質点に働く慣性力まで含めた力のなす仮想仕事δWの総和が各時刻でつねに0,すなわち,という条件に従うように定まる。…
…したがって運動する(厳密には加速運動する)座標系での記述をやはり(1)の形に書き表そうとすると,たとえ力が働いていずF=0であっても,右辺には系の運動に起因する見かけの力が現れる。このような力を慣性力といい,発進する電車の中で乗客の感ずる力,回転系での遠心力,地球上で運動する物体に働くコリオリの力などはこの例である。 古典力学に現れる力で最も重要なのは,すべて質量をもつ物体に働く万有引力であろう。…
※「慣性力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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