手長(読み)テナガ

デジタル大辞泉 「手長」の意味・読み・例文・類語

て‐なが【手長】

手が長いこと。また、そのもの。
盗癖のあること。また、その人。
手長島に住み、手が非常に長いという想像上人間
宮中貴人の家で、酒宴などの際に膳部を次の間まで運び、取り次ぎをする役。また、その人。おてなが。
「今日の斎莚さいえんは―の役あるべからず」〈宇治拾遺・一三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「手長」の意味・読み・例文・類語

て‐なが【手長】

〘名〙
① 手の長いこと。また、そのもの。
② 手長島に住むという、手が非常に長い、想像上の人間。
※枕(10C終)二三「清涼殿の丑寅のすみの、北のへだてなる御障子は、〈略〉てながあしながなどをぞかきたる」
③ 宮中や貴人の家で、酒宴などの際に膳部を次の間まで運び、取次ぎをする役。また、その人。おてなが。
※小右記‐長徳二年(996)八月一七日「尉一人不参、手長誰人可奉仕乎」
富家語(1151‐61)「人陪膳は先居其前で手長の持来を取次也」
給仕仲居
※おきく物語(1678頃)「御手長(テナガ)のもの〈今の中居などいふやうなるもの〉おあちやと申すと」
⑤ 祭式で、供物を運ぶ神官。おてなが。
⑥ 盗みぐせがあること。また、その人。
⑦ 長く作った綿帽子。頬包。手細。
※洒落本・来芝一代記(1797)「手長(ナガ)の綿帽子も異やうに見たてむづかし」
⑧ (「手永」とも書く) 肥後藩(熊本県)に代表される行政区画。手永は士分の郡代・惣庄屋に統率され、それぞれ一単位(二〇~七〇か村)を支配して管内の民政をつかさどった。

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