給仕(読み)キュウジ

デジタル大辞泉 「給仕」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐じ〔キフ‐〕【給仕】

[名](スル)
食事の席にいて世話をすること。また、その人。「家族夕飯給仕する」
もと官庁会社などで、雑用をした人。
[類語]ウエーターウエートレスボーイギャルソンカメリエーレ女給バーテンバーテンダーホストホステスコンパニオン

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精選版 日本国語大辞典 「給仕」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐じキフ‥【給仕・給事・給侍】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) 貴人のそばに仕えること。貴人の身のまわりの世話、雑用をすること。また、その人。
    1. [初出の実例]「仏のきふしの御弟子にはたれをかせむとおぼすらむと」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)三月七日)
    2. 「藤波を桂之助の妾(そばめ)にめしかかへ、館に引とりて給仕(キウジ)させければ」(出典:読本・昔話稲妻表紙(1806)一)
  3. ( ━する ) 飲食の座にいて、その世話をすること。また、その人。
    1. [初出の実例]「給仕する比丘尼が膳をもっていけば」(出典:史記抄(1477)一〇)
    2. 「其上上官より以上は、御番衆して給仕の役になさるべし」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)中)
  4. 役所、会社、学校などで、茶を運んだり雑用をしたりする役。また、その人。
    1. [初出の実例]「諸省内に弱年の者給仕(キウジ)と唱へ使役せらるるもの多し」(出典:新聞雑誌‐五八号・明治五年(1872)八月)
    2. [その他の文献]〔墨子‐雑守〕
  5. 旅館、飲食店などで、客の飲食などの接待をする役。また、その人。ボーイ。ウェイター。ウェイトレス。
    1. [初出の実例]「戸口に立ち留まってゐた給仕が、『お食事はこちらで』と云って」(出典:普請中(1910)〈森鴎外〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「給仕」の意味・わかりやすい解説

給仕 (きゅうじ)

元来は貴人のそばに仕えて身のまわりの世話や雑用をすること,また,その人をいう。転じて近代以降,役所や企業,学校などで茶を運んだり,その他さまざまな雑用に従事する係の者を給仕と呼ぶようになった。一方,ひろく飲食の席で会食者の世話をすることも〈給仕〉の語で指示されるようになり,その結果,旅館や飲食店などで客の飲食の接待をする係も給仕と呼ばれるようになった。とくに明治時代以降に流行したカフェーやバーで男の客の接待にあたる婦女子は〈女の給仕〉をつづめて〈女給〉と呼びならわされた。だが,今日では給仕もしくは女給という呼名が用いられることはまれで,その代りに,レストランや喫茶店ではボーイもしくはウェーター,ウェートレス,バーやキャバレーではホステスなどの呼名が用いられることが多い。また,役所や企業,学校などで雑用に従事する人も,用務員などの名称で呼ばれるのがふつうである。
執筆者: 平安時代以降,天皇の食事に近侍して給仕に当たる役を陪膳(はいぜん)といい,重要な饗宴のさいには高位の公卿典侍などがこれを務めた。〈陪膳の采女(うねめ)〉といって,宣旨によって任命された采女が務めることもあった。次の間まで膳を運んで取り次ぐ役は手長(てなが)といい,陪膳が中納言で手長が蔵人頭といった例も少なくなく,のちには給仕役一般を〈お手長〉といった。江戸時代武家宴席などでこうした仕事に従う人を配膳人と呼んだが,やがてそれを専業とする者が現れた。京都で配膳と呼んでいたのがそれで,婚礼披露その他の宴席に招かれ,色紋付に袴(はかま)をつけて給仕した。
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