捧・擎(読み)ささげる

精選版 日本国語大辞典 「捧・擎」の意味・読み・例文・類語

ささ・げる【捧・擎】

〘他ガ下一〙 ささ・ぐ 〘他ガ下二〙 (「さしあげる」の変化した語)
① 両手にもち、目の高さ近くまで上げる。
万葉(8C後)一九・四二〇四「吾が背子が捧(ささげ)て持てるほほがしはあたかも似るか青き蓋(きぬがさ)
源氏(1001‐14頃)宿木「主の頭中将、さかづきささげて御台まゐる」
② 上へ高くあげる。高くさしあげる。かかげる。
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「此の尼拘律の樹は手を挙(ササクレ)ば頭に及べりき
③ (②から) 得意になって見せびらかす。誇示する。
※仮名草子・伊曾保物語(1639頃)下「人としてわが誉(ほまれ)をささぐる時は、人の憎みをかうむりて」
神仏、あるいは死者供物をたてまつったり、祈ったりする。供える。
※仏足石歌(753頃)「釈迦(さか)の御足跡(みあと)(いは)に写し置き敬ひて後の仏に譲りまつらむ 佐々義(ササゲ)まうさむ」
※奉教人の死(1918)〈芥川龍之介〉一「泣く泣く祈りを捧げたのぢゃ」
目下の者から目上の者へ物をたてまつる。献上する。献納する。
書紀(720)雄略一二年一〇月(図書寮本訓)「庭に顛仆(たふ)れて、擎(ササケ)る所の饌(みつけもの)を覆(こほ)しつ」
⑥ 高い大きな声を出す。声をはりあげる。
※栄花(1028‐92頃)もとのしづく「御声をささげて泣きののしり給へど」
⑦ 自分の真心愛情、大切なものなどを相手に示し、さし出す。相手に尽くす。また、自分の持っている力を対象にすべてそそぐ。
脱出(1935)〈福田清人〉一「晩年社会事業に捧げてゐた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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