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摂論宗 しょうろんしゅうShe-lun-zong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

摂論宗
しょうろんしゅう
She-lun-zong

中国仏教十三宗の一つ。無着の『摂大乗論』の学説を基として成立した一派。この論を世親が注釈した『摂大乗論釈』が,梁~陳の代に真諦によって中国に伝えられ,真諦の門人がこの論を講じて義疏をつくり,次第に相承して一派を形成した。

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうろんしゅう【摂論宗 Shè lùn zōng】

中国仏教13宗の一つ。6世紀半ばの梁代に広東に来たインド僧真諦(しんだい)により漢訳された無着の《摂大乗論》と世親の《釈論》に基づく宗派。北周武帝の廃仏に際し,多くの僧徒が南に避難したが,南地でこの摂論に接して研究が盛んとなった。本来,教義の近い地論宗曇遷(542‐607)はこれを北に紹介し,地論宗北道派を多く吸収して,隋代には大いに広まった。唐の玄奘(げんじよう)が摂論を新訳して唯識論を展開し,法相宗が興るに至って摂論宗は衰微消滅した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

摂論宗
しょうろんしゅう

中国の仏教学派。インド仏教で成立した瑜伽行(ゆがぎょう)派の唯識(ゆいしき)説のうち、パラマールタ(真諦(しんだい)、499―569)によって中国に翻訳・紹介されたアサンガ(無著(むじゃく))の『摂大乗論(しょうだいじょうろん)』とバスバンドゥ(世親(せしん))の『摂大乗論釈』の教理を中心として研究する学派グループをいう。唯識説は、仏教の立場から、迷悟、染浄を含む人間の意識構造を、その深層領域にまで推求しながら体系的に記述しようとするものであるが、中国および日本の仏教学では、一般には玄奘(げんじょう)(600―664)が中国に伝えた『成唯識論(じょうゆいしきろん)』の学説を中心として基(窺基(きき)、632―682)が開いた法相(ほっそう)宗の名によって知られている。真諦の伝えた唯識説はそれとは系統の異なるものであり、古唯識といわれ、のちには法相宗の学問のなかに吸収された。『摂大乗論』の学習は、真諦在世中は振るわなかったが、没後、曇遷(どんせん)(542―607)がこれを北地に伝えてから盛んになったようであり、隋(ずい)、初唐代の仏教学に少なからぬ影響を与えた。[柏木弘雄]
『宇井伯寿著『摂大乗論研究』(1935・岩波書店) ▽宇井伯寿著『真諦三蔵伝の研究』(『印度哲学研究 第6巻』1930・岩波書店)』

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