摩竭魚(読み)まかつぎょ

精選版 日本国語大辞典 「摩竭魚」の意味・読み・例文・類語

まかつ‐ぎょ【摩竭魚】

〘名〙 (「摩竭」はmakara の音訳で、「摩竭羅」の略。鯨魚・巨鼇(こごう)と訳す) 体が極めて大きく、海底に穴居してよく船をのみこむという大魚。大鯨または大亀をいう。摩竭大魚。
※九冊本宝物集(1179頃)九「大海一毛につつみ給へども、摩竭魚は色をもおとさず」 〔玄応音義‐一〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「摩竭魚」の意味・わかりやすい解説

摩竭魚
まかつぎょ

海の怪物、巨大な魚の一種。摩竭はサンスクリット語およびパーリ語のマカラmakaraの音写。インド神話には、愛の神カーマkāmaの象徴として、あるいは大洋神バルナVaruaの乗り物として現れ、そのワニのような独特の形像は門(マカラトーラナ)とか、頭や耳の飾りに使用される。実在する魚としては鮫(さめ)に相当する場合が多く、仏教経典、とくに律典のなかにその歯や骨を用いてつくった道具・装飾品がみられる。

[片山一良]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「摩竭魚」の意味・わかりやすい解説

摩竭魚
まかつぎょ

サンスクリットのマカラ makaraの漢訳。経典に出てくる空想上の巨魚で鯨魚ともいう。頭部前肢羚羊 (れいよう) やわにのようで,体躯や尾は魚形で表わされる。しばしば船を飲み込み,海底に穴居しているといわれる。インド神話では大洋の神バルナの乗物とされ,あるいは愛の神カーマデーバの旗上につけられ,また十二宮の一つとして摩竭宮と名づけられている。バールフット,サーンチー,ブッダガヤーその他の仏教建築や仏像などにもしばしば装飾的に用いられている。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「摩竭魚」の解説

摩竭魚 (マカツギョ)

動物。海の怪物,巨大な魚の一種

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