江戸時代の困窮民に対する救恤(きゆうじゆつ)策の一つ。多くは飢饉,火災,水害などの災害時,罹災窮民のいっそうの困窮化を防ぐため,幕府,領主などによって与えられる救助米を指し,人々はこれを敬して御救米と称した。これに対して,民間で行われる救済の救助米は合力米,施行米と称される場合が多い。なお,窮民層の固定化現象が現れる江戸中期以降,災害時に限らず日常時の救済も企てられ,社会的底辺層に御救米が与えられた。1792年(寛政4)設立の江戸町会所による窮民救済は,日常時の窮民のほか,災害時の救済として,火災などの類焼者に限定されるものと,飢饉など江戸町人別の窮民全体を対象とするものとがあった。後者の場合は,江戸町人別のおよそ60%が窮民として御救米を受けた。御救米支給基準は,天保期(1830-44)以降,男1日米5合で,60歳以上,15歳以下および女は1日米3合,10日間支給にほぼ固定化した。
執筆者:北原 糸子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報