集義和書(読み)シュウギワショ

デジタル大辞泉 「集義和書」の意味・読み・例文・類語

しゅうぎわしょ〔シフギワシヨ〕【集義和書】

江戸時代随想録。16巻。熊沢蕃山著。寛文12年(1672)刊。蕃山思想学問を問答形式によって論じた書。「集義外書」とともに蕃山の主著

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精選版 日本国語大辞典 「集義和書」の意味・読み・例文・類語

しゅうぎわしょシフギ‥【集義和書】

  1. 随想録。熊沢蕃山著。岡島可祐編。寛文一二年(一六七二)一一巻一一冊本で初版刊行。延宝四年(一六七六)頃初版を削除・増補して一六巻一六冊で二版刊。学者日用の習練工夫を述べ、政治・社会・学問思想などに関する意見を表明したもので蕃山の思想を集約している。義に従って物欲のとりことならぬこと、各国風土の特殊性に即して人情時変・時処位に応ずること等を説く。二版は書簡五巻、心法図解一巻、始物解一巻、義論九巻。なお、初版で削除された部分は「集義外書」に編入されて宝永六年(一七〇九)刊。

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改訂新版 世界大百科事典 「集義和書」の意味・わかりやすい解説

集義和書 (しゅうぎわしょ)

江戸前期の儒者熊沢蕃山の主著。1657年(明暦3)岡山藩を致仕した後,京都,吉野山を経て明石に隠棲して著述したもので72年(寛文12)に初版11冊が板行された。その後みずから増補改訂を行い76年(延宝4)までに2版16冊を上梓した。このとき除かれた部分はほとんど《集義外書》(1709)に収められた。道徳思想から時勢論に及ぶ本書にいうところは《翁問答》における中江藤樹の考えをうけつぎ(ただし藤樹自身の思想は晩年に変化した),〈時・処・位〉論を展開したものである。《蕃山全集》《日本思想大系》などに所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「集義和書」の意味・わかりやすい解説

集義和書
しゅうぎわしょ

16巻。江戸前期の儒者熊沢蕃山(くまざわばんざん)の著書。1672年(寛文12)初版刊行、その数年後大幅な改訂の加えられた2版が刊行された。350条余り(2版)の問答体の著述である本書は、のちに著された『集義外書(しゅうぎがいしょ)』とともに蕃山の代表作である。『外書』が主として「経世治教の事」に関したものであるのに対し、『和書』は「おほく学者日用の工夫」を論じたものであり、朱王折衷的な儒学的立場、自然・歴史・人間への鋭い洞察に基づく特有の「人情時変」論、現状への批判を秘めた政治社会思想など、蕃山の学問・思想の大概は本書によって知ることができる。対馬(つしま)の陶山訥庵(すやまとつあん)にその抄本『集義和書略』があることからも、その影響力がうかがわれる。

[佐久間正]

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百科事典マイペディア 「集義和書」の意味・わかりやすい解説

集義和書【しゅうぎわしょ】

熊沢蕃山の著書。11巻(再版16巻)。門人岡嶋可祐の編集。1672年初版,1676年再版。書簡・心法図解・始物解・義論に分かれ,中江藤樹の《翁問答(おきなもんどう)》を継承する問答体や図を用い,学問・思想・時勢のことを平易な和文で論述する。《集義外書(がいしょ)》とともに,蕃山の学問・思想を知ることができる代表作。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「集義和書」の意味・わかりやすい解説

集義和書
しゅうぎわしょ

熊沢蕃山の著。 16巻。初版は寛文 12 (1672) 年初秋,11行本 11冊で門人岡嶋可祐が編集したもの。延宝4 (76) 年頃に 10行本 16冊の第2版を出した。第2版は初版に大幅な改訂を加え,削去,増補したものである。平易な和文体で,精神の修養上の心得や政治について,実践の優位を説き,「時処位」の論を展開している。『集義外書』とともに蕃山の代表的著作。

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