教育職員免許法等改正(読み)きょういくしょくいんめんきょほうとうかいせい

知恵蔵 「教育職員免許法等改正」の解説

教育職員免許法等改正

2007年6月に改正された教育職員免許法(教員免許法)。主な変更点である教員免許更新制は、これまで一度取得したら無期限で有効だった教員免許に原則10年の有効期限を設け、期限がくる前に大学などが開設する30時間の免許状更新講習を受講し、修了しなければ免許が失効するという制度。文部科学省は「定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指す」とするが、制度導入の旗を振った安倍晋三元首相らは「不適格教員の排除」を明言していた。学力低下学級崩壊を「不適格教員」のせいにする議論は一見わかりやすいが、教員の長時間過密労働や児童・生徒をめぐる家庭・社会環境の変化なども軽視できない。更新講習を実施する大学は内容の充実に準備を重ねているが、講習後の合否判定をどのくらい厳格にするかなど悩みも出ている。教員にとっては、新たな知識を学ぶ機会が得られる反面終身雇用がなくなるうえ、講習に時間を取られることで肝心の子どもたちと向き合う時間が削られるというジレンマもある。01年に教員免許更新制を導入したカナダでは、現場の混乱や運営経費の肥大化、新採用教員の早期退職などにより、わずか3年で制度が廃止されている。
他の変更点としては、中学校や高校の免許を持つ教員が、小学校で自分の専門に相当する教科や総合学習を教えたり、高校教員が中学校で教えたりすることができるようになったことがある。より専門的な知識、技術を持つ教員が小中学生を指導できるようになるほか、公立校でも増えてきた中高一貫や、小中高の連携にも対応する。社会人教員の採用を促すため、免許はなくても見識熱意がある人に教員資格を与える特別免許状については、「大学卒」「有効期限5~10年」の要件が廃止された。

(北健一 ジャーナリスト / 2009年)


教育職員免許法等改正(教員免許更新制)

教育職員免許法等改正」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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