1990年代の後半に学校現場で静かに広がった子供たちの「新しい荒れ」の現象。子供たちの「新しい荒れ」とは、1980年代に中学校・高等学校の校内暴力にみられた対教師暴力や器物損壊行為などのつっぱり生徒を中心とした荒れではなく、普通の子供の突発的な攻撃行動や授業中の不規則行動、私語、逸脱行為などをさす。具体的には、子供たちが「教師の指導を受け入れない」「授業が始まっても教室内を立ち歩く」「私語が多い」「集団で教室を飛び出し、いつまでも戻らない」「突然奇声を発したり、物を投げたりする」などの行為を繰り返すことである。さらに教師に暴言を吐いたり、暴力を振るったりすることもある。こうした態様はさまざまだが、学級崩壊とは要するに授業が成立しない状態をさす。
「学級崩壊」という用語は、1997年ごろから使われ始めた。中学校でもその現象はみられたが、教師がひとりひとりの児童と深く接触できる学級担任制がとられている小学校での現象が顕著になった。きちんとした統計はないが、公立小学校約2万4000校、学級数約27万、生徒数約750万人(1999年現在)のうち、全学級の1割程度で学級崩壊が起こり、担任教師の教職経験の長短にかかわらず、どの学級でも生じる可能性があると考えられている。
学級崩壊は、教える側・学ぶ側双方に強烈なストレスがたまっていることが土台にあるといえる。子供たちが受けている現代社会のストレス源は多様であり、それが学校・学級で発現するのである。学級は、期限付きで人為的につくられた子供たちの集団であり、そのなかで生活と学習が行われる。生活のなか、学習のなかでも子供同士が集団を形成し、ともに成長することが前提となるが、そこでも価値観や文化および民主主義の欠落が問題となった。学級崩壊の直接の原因については、教師の指導力の欠落が指摘される一方で、子供の社会化の遅れや道徳性の未形成を指摘する声もある。また、40人学級や学級担任制など明治以降の学校システムの硬直性が根底にあるという指摘もある。
[神山正弘]
『佐伯胖・汐見稔幸・佐藤学編『学校の再生をめざして』1~3(1992・東京大学出版会)』▽『志村広明著『学級経営の歴史』(1994・三省堂)』▽『全国生活指導研究協議会常任委員会編『立ちつくしている教師におくる10章――「学級崩壊」の広がりのなかで』(1999・大月書店)』▽『朝日新聞社会部著『学級崩壊』(1999・朝日新聞社)』▽『石田一宏・村山士郎著『衰退する子どもの人間力――「学級崩壊」にどう対応するか』(2000・大月書店)』
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