斑点病(トウモロコシ)
雌穂の包葉で発生することが多い斑点性の糸状菌病。病斑は初め緑色の色あせた小点だが、後に褐色ないし紫褐色となり、直径2ー5mmの円形または楕円形の病斑となる。病斑は融合して不定形となり、表皮を破れば中には休眠胞子があり、粉状を呈する。この罹病組織が地面に落ちて越冬し、翌年胞子が発芽して遊走子を出してまん延する。病原菌はごま葉枯病菌と同様にOレースとTレースがあるが、日本では未確認である。
斑点病(ライグラス)
全国で発生する斑点性の糸状菌病。病斑は黒褐色、楕円形〜円形、周囲がしばしば黄化し、長さ5〜15mm 、幅3〜7mmとなるのが典型であるが、実際は病斑は融合して不定形になることが多く、何となく斑点が出ているような感じになることもある。このため病斑が区別しにくく、抵抗性育種などの対応が遅れている。病原菌は、オーチャードグラス、フェスク等の斑点病菌とは同属だが、別種。
斑点病(ブロムグラス)
葉に斑点を形成する糸状菌病。病斑は初め褐色の小点あるいは短い線状であるが、徐々に拡大して褐色、楕円形〜紡錘形、長さ0.2-3cm、幅 0.1-1cmの病斑になる。病斑の大きさは非常に変異が大きい。病原菌はフェスク斑点病菌、ライグラス夏斑点病菌と同種であるが、寄生性の点でも同じか どうかは明らかではない。寄主範囲は広い。
斑点病(フェスク)
主にメドウフェスクで発生する糸状菌病。病斑は初め褐色の小点あるいは短い線状であるが、徐々に拡大して褐色、楕円形〜紡錘形、長さ0.2-3cm、幅0.1-1cmの病斑になる。病斑の大きさは非常に変異が大きい。病原菌はライグラスの夏斑点病菌と同種であるが、両者が寄生性の点でも同じかどうかは明らかではない。寄主範囲は広い。
斑点病(チモシー)
北部及び高冷地で最も一般的なチモシーの斑点性病害。春から秋にかけて発生するが、夏に最もまん延する。初め紫黒色の小点であるが、後に中央部灰白色、周縁部紫黒色の円形病斑となる。病斑の大きさは直径2ー3mm程度だが、多発すると葉先から巻き上がるように枯れる。病原菌はチモシーにのみ寄生する。
斑点病(パラグラス)
1998年3月に沖縄県石垣市の草地で発生を確認した。病徴は初め葉身上の褐色小斑点であるが,後に拡大して周縁部褐色, 中心部黄褐色,長楕円形から紡錘形,大きさ0.5-2×0.1-0.5cmの斑点となる。病勢が進むと病斑が融合して不整形となり,周縁に黄色のハローが 形成される。
斑点病(ライムギ)
主に葉に発生する斑点性の糸状菌病。初めは水浸状の斑点であるが、徐々に拡大し、淡褐色、紡錘形、長さ0.5-1cmの大型病斑となる。これが後に融合して、葉全体を枯らす。秋に幼植物に発生すると被害が大きい。病原菌はいわゆるヘルミントスポリウム菌で、宿主範囲は広い。
斑点病(テオシント)
葉および葉鞘に発生する糸状菌病。病斑は褐色から紫褐色、直径2ー5mmの円形から楕円形で、葉鞘や葉の中肋などに多数発生する。病斑は少し盛り上がり、やがて相互に融合して大型の不定形斑となる。病斑の表皮を破ると、内部は銹色でやや粉状を示す。
斑点病(アカクローバ)
主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。
斑点病(シロクローバ)
主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。
斑点病(クリムソンクローバ)
主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。
斑点病(アルサイククローバ)
主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。
斑点病(サブタレニアンクローバ)
主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。
斑点病(オーチャードグラス)
北海道で発生する糸状菌病。葉に楕円形から紡錘形、大きさ2-3×0.5-1mmの斑点を形成する。病斑は初め紫褐色であるが、後に中央部が灰色に枯れ、ここに白色綿毛状の菌糸を生じる。病斑表面に形成された分生胞子が飛散して、まん延する。
斑点病(ベルベットグラス)
葉に斑点を形成する糸状菌病。病斑は赤褐色から黒褐色、楕円形、大きさは3-7×1-3mmである。病斑の中央部は色が濃く、周縁部は薄いため、外縁はやや不鮮明になる。病斑周囲には黄色のかさを生じ、病斑は融合して葉全体を枯死させる。
斑点病(レッドトップ)
葉枯を引き起こす糸状菌病。病斑は初め褐色の小点だが、後にオリーブ灰色に変わり、周囲には黄色から黄土色のハローが形成される。発生後期には病斑は中央部から次第に灰白色に枯れ、相互に融合して葉枯を引き起こす。
斑点病(バミューダグラス)
2003年10月に鳥取市で発生した新病害。葉に斑点を形成する糸状菌病。病徴は葉身および葉鞘に、楕円形から紡錘形、褐色〜紫褐色、大きさ2-8×1-2mm程度の病斑を形成する。多発すると株全体が枯れ上がる。
出典 畜産草地研究所飼料作物病害図鑑について 情報