牧草として栽培されるイネ科の多年草。和名をオオアワガエリという。ヨーロッパの原産だが,牧草としてはアメリカから広まり,日本には明治初期に北海道に導入された。北海道や東北地方を中心に栽培されるが,道ばたや空地に野生化もしている。草丈は50cm~1m。晩春から初夏に円柱状の穂を出す。穂は5~15cm,小穂が密につき,淡緑色でやや紫色を帯びる。小穂は長さ3mmほどで1小花よりなる。種子はきわめて小さく軽く,1000粒で約0.5gである。茎の基部の地中にある部分はふくらみ,鱗茎となる。温帯の中でもやや寒冷な土地に適し,湿った場所を好む。刈り取って乾草として家畜に与えるが,青刈りやサイレージ用としても利用できる。放牧地用にも栽培されるが,家畜に踏まれることにより害を受けやすい。飼料として良質で,とくにウマがこれを好む。発芽したばかりのものは細くそろい,緑色が美しいのでキヌイトソウ(絹糸草)の名で水盤などにつくり観賞される。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イネ科(APG分類:イネ科)の多年草であるオオアワガエリの英名。牧草とする。同属のものにアワガエリやミヤマアワガエリがある。
[編集部 2019年8月20日]
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