新声(読み)シンセイ

デジタル大辞泉 「新声」の意味・読み・例文・類語

しんせい【新声】[書名]

文芸雑誌。明治29年(1896)、佐藤義亮創刊徳冨蘆花広津柳浪らが執筆し、新人投稿者の中には若山牧水前田夕暮などがいた。休刊再刊をはさみつつ明治43年(1910)廃刊。→新潮

しん‐せい【新声】

新しい表現・意見
「いずれも明光と―と空想とに酔えるがごとくなりき」〈藤村・藤村詩抄〉
新しい歌。
[補説]書名別項。→新声

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精選版 日本国語大辞典 「新声」の意味・読み・例文・類語

しん‐せい【新声】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 新鮮なさわやかな音声。はじめて聞く声やさえずりなど。
      1. [初出の実例]「新声宛転遙夜振、妙響聯綿遠風沈」(出典:凌雲集(814)和菅清公秋夜途中聞笙〈嵯峨天皇〉)
    2. 新しいことば、表現。また、新しい意見。
      1. [初出の実例]「あるものは西の詩人のごとくに呼ばはり、いづれも明光と新声と空想とに酔へるがごときなりき」(出典:藤村詩集(1904)〈島崎藤村〉序)
    3. 新しい歌。新作の音曲。新曲。
      1. [初出の実例]「管絃之在長曲、怒闋於伶人。変態繽紛、神也又神也。新声婉転、夢哉非夢哉」(出典:菅家文草(900頃)二・早春内宴、侍仁寿殿、同賦春娃無気力)
      2. [その他の文献]〔国語‐晉語八〕
  2. [ 2 ] 文芸雑誌。明治二九年(一八九六)主筆佐藤儀助(義亮)で創刊。金子薫園・田口掬汀(きくてい)らが協力し新進紹介につくした。同四三年廃刊、「新潮」に継承。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新声」の意味・わかりやすい解説

新声
しんせい

文芸雑誌。1896年(明治29)7月~1910年(明治43)3月。この間休刊、再刊があって、3期に分かれ、発行所も新声社から隆文館に移る。後の新潮社社長佐藤義亮(ぎりょう)が創刊。『新潮』の前身。社員に高須梅渓(ばいけい)、金子薫園(くんえん)、千葉江東(こうとう)(亀雄)らがいた。初め詩歌が中心であったが、のち小説にも力を入れ、広津柳浪(りゅうろう)、小栗風葉(おぐりふうよう)、徳冨蘆花(とくとみろか)らが執筆。明治30年代、投書雑誌として新人の文学修業の場の役割を果たしたが、投書家として名をなした人に中村春雨(しゅんう)、片上天弦(かたがみてんげん)(伸)、若山牧水(ぼくすい)、前田夕暮(ゆうぐれ)らがいる。末期は学生雑誌風になり、低俗なものとなった。

[大屋幸世]

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普及版 字通 「新声」の読み・字形・画数・意味

【新声】しんせい

新歌曲。

字通「新」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の新声の言及

【新潮】より

…1904年(明治37)5月創刊。1896年《新声》を発刊して明治30年代の文学に重要な役割を果たしながら,新声社の経営に失敗して挫折した佐藤義亮(ぎりよう)が,義弟中根駒十郎らの力をかりて新潮社をおこし,日露戦争下に新たに創刊したもの。初めは投書雑誌的傾向をもっていたが,佐藤紅緑や高須梅渓,田口掬汀(きくてい)ら《新声》以来の執筆者をはじめ,小栗風葉,真山青果,徳田秋声,上田敏,生田長江らが活躍した。…

※「新声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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