保田与重郎の評論。1936年(昭和11)10月《文学界》に発表。ほかに評論5編を収めて同年11月,芝書店から刊行し,第1回池谷信三郎賞を受賞。人工さえほのかにし,つとめて自然の相たらしめようとした日本の橋と,はるかに雄大な人工のみに成立する精神の所産であるローマ人の橋を対比することで,日本の伝統文化のあえかな美しさを抽出しようとした保田の代表作。日本では人工さえその極致においては自然を救うために構想せられた,と保田はいい,それが時代を経るにつれて,人工と自然をもっぱら調和し,淡い透明の中間に心理の文学を描いた,としている。〈はし〉には特別な含意があって,〈その終りははるかな彼方へつながれる意味〉だという。
執筆者:大久保 典夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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