日本海溝・千島海溝地震対策特別措置法(読み)にほんかいこうちしまかいこうじしんたいさくとくべつそちほう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

日本海溝・千島海溝地震対策特別措置法
にほんかいこうちしまかいこうじしんたいさくとくべつそちほう

日本海溝千島海溝周辺で発生する海溝型大地震の発生に備え、防災対策を推進することを規定した法律。「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(平成16年法律第27号)の略称。地域を特定した地震防災対策特別措置法としては、2002年(平成14)に成立した東南海・南海地震対策特別措置法(略称)に次ぐ。

 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震とは、房総半島の東方沖から三陸海岸の東方沖を経て択捉島(えとろふとう)の東方沖までの、日本海溝および千島海溝並びにその周辺の地域における、地殻境界またはその内部震源とする大規模な地震をいう。

 日本海溝・千島海溝周辺では、過去に津波被害を伴う地震があちらこちらでおきており、日本列島ではもっとも地震活動の活発な地域である。2003年には十勝沖(とかちおき)でマグニチュード8.0の地震が発生、津波などの被害を伴った。この地震は1952年(昭和27)の十勝沖地震とほぼ同規模で、海溝型の大地震が繰り返し発生することを示し、周辺地域でも同じように大地震が繰り返し発生すると予想されることが、法律成立の背景にある。しかしこの法律が対象とした大地震は、マグニチュード8クラスまでの過去100年間に発生した大地震を想定したものであり、2011年東北地方太平洋沖地震のようなマグニチュード9クラスの巨大地震は想定されていなかった。2006年2月20日に北海道青森岩手宮城福島の5道県の130市町村が地震防災対策地域として指定されたが、対象とした地域が広かったこともあり、施策としての効果には限界があった。

 地震防災対策地域の指定の仕方、地震防災対策推進基本計画を作成・実施することなど、内容は東南海・南海地震対策特別措置法とほとんど同じであり、基本計画を構成する推進計画、対策計画の内容も一致する。

[浜田信生]

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