択捉島(読み)エトロフトウ

デジタル大辞泉 「択捉島」の意味・読み・例文・類語

えとろふ‐とう〔‐タウ〕【択捉島】

北海道東部、千島列島中最大の火山島北洋漁業の基地として紗那しゃななどの漁港がにぎわった。第二次大戦後、ソ連(現在はロシア連邦)の統治下。面積3139平方キロメートル。

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共同通信ニュース用語解説 「択捉島」の解説

択捉島

北方四島で最北に位置する最大の島。面積は約3180平方キロメートルで北方領土の63%を占める。人口は約6400人。島を実効支配するロシアがインフラ整備と軍備増強を進める。2016年に新型地対艦ミサイル「バスチオン」(射程300キロ以上)が配備され、18年には最大集落の紗那しゃな(ロシア名クリーリスク)近郊のヤースヌイ空港が軍民共用となった。(ウラジオストク共同)

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精選版 日本国語大辞典 「択捉島」の意味・読み・例文・類語

えとろふ‐とう‥タウ【択捉島】

  1. 北海道東部、千島列島最大の島。国後(くなしり)島の北東方にある。安政元年(一八五四日露和親条約により日本領となった。第二次世界大戦後は、ソ連を経てロシアが統治している。ロシア語名は Iturup

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日本歴史地名大系 「択捉島」の解説

択捉島
えとろふとう

南千島諸島の北端に位置し、幅約二二キロの国後くなしり水道を隔てて国後島の北東に隣り合う島。南西から北東への長さ約二〇三キロ、幅は六―三〇キロ、面積は三一三九平方キロの千島列島中最大の島である。千島火山脈上にあるため一〇〇〇―一五〇〇メートル級の活火山と休火山十数座がおおむね四群に分れてそびえ、その中間には内保ないほ入里節いりりぶし、ラウス・年萌としもい留茶留原るちやるはらの三平原が広がっているほか、多数の小河川や沼々が点在して美しい景観を作り出している。島の北西海岸(オホーツク海側)は比較的屈曲に富み、各所に岬があって錨地に適した入江が多いが、南東海岸(太平洋側)は概して断崖が続いて船澗はわずかである。そのため集落の多くは北西海岸にあり、南東海岸にはまれであった。ただ昭和一六年(一九四一)の真珠湾攻撃の基地として有名な単冠ひとかつぷ湾の両側にある天寧てんねい・年萌の両不凍港は、冬期の停泊に重宝されていた。

択捉島の先住民は国後島と同様北海道アイヌの同族で、漁労・狩猟を生業としながら定住の生活を営んでいた。それゆえ北千島の島々を移動しながらもっぱら海獣猟に従事し、半地下式の住居を作っていた千島アイヌとは生活や風俗慣習にかなりの相違がみられ、言葉にもいくらかの差異があった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「択捉島」の意味・わかりやすい解説

択捉島
えとろふとう

北海道東部、根室半島東端にある納沙布(のさっぷ)岬の北東110キロメートルにある島。南西は国後(くなしり)水道を隔てて国後島に臨み、北東は択捉海峡を隔てて得撫(ウルップ)島以北の千島列島に連なる。長さ203キロメートル、最大幅30キロメートル、面積3182.65平方キロメートル。火山が多く、最北端に神威(かむい)岳(1322メートル)、中北部に北散布(ちりっぷ)山(1561メートル)、西部に単冠(ひとかっぷ)山(1566メートル)、その西に阿登佐(あとさ)岳(1206メートル)などがある。また南西部の萌消(もえけし)湾は沈水カルデラ、南端のベルタルベ山(1221メートル)は新しい円錐(えんすい)火山であるなど、火山地形の宝庫で、活火山も多い。海岸線は海食崖(がい)が続き、屈曲は少ないが、紗那(しゃな)、単冠湾などの錨地(びょうち)がある。第二次世界大戦前の紗那測候所によれば、月平均気温は2月零下6.9℃、8月15.5℃、年平均気温は4.2℃で、年降水量は約1000ミリメートル。冬の季節風はきわめて強く、夏には濃霧の日が多い。地表はエゾマツトドマツ、カンバ類、ミズナラ類、下生えはササが覆っている。サケ、タラ、カレイタラバガニなどの漁獲がある。

 1786年(天明6)最上徳内(もがみとくない)が探検、1798年(寛政10)近藤重蔵(じゅうぞう)が探検して「大日本恵登呂府」の標柱を立てた。翌年、高田屋嘉兵衛が航路を開いたが、定住者は少なかった。第二次世界大戦前は根室支庁(現、根室振興局)管内の択捉郡留別村(るべつむら)、紗那郡紗那村、蘂取(しべとろ)郡蘂取村の3郡3村からなり、現在も形式上は存続する。戦前は北洋漁業の基地として紗那などの漁港がにぎわい、人口3729(1942)に達した。単冠湾は、ハワイ攻撃の日本海軍艦艇(かんてい)の集結地(1941年11月)として知られる。日本のいわゆる「北方領土」の一つであるが、戦後はソ連、ソ連解体後はロシア連邦が支配し、サハリン州の所属で、イトルプ島Итурупとよび、紗那をクリリスクと称している。

渡辺一夫

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百科事典マイペディア 「択捉島」の意味・わかりやすい解説

択捉島【えとろふとう】

イトゥルプIturup島とも。千島列島中最大の島。3167km2。火山性の山地(最高点1567m)からなり,海岸は断崖が多い。中心は北岸のクリリスク(沙那)で,太平洋岸に良港の単冠(ひとかっぷ)湾(カサトカ湾)がある。1798年近藤重蔵が渡航し大日本恵土呂府の標柱を建てた。日本の北洋漁業の根拠地であったが,1945年ソ連の統治下にはいった。日本によって返還運動が続けられている。
→関連項目ウルップ[島]国後島高田屋嘉兵衛時規物語松浦武四郎間宮林蔵レザノフ

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改訂新版 世界大百科事典 「択捉島」の意味・わかりやすい解説

択捉島 (えとろふとう)

千島列島南部にある火山島。面積3139km2は千島列島最大で,長径203km,短径6~30kmの細長い形をしている。国後(くなしり)島の北東にあり,択捉海峡を挟んでウルップ島に相対する。1798年(寛政10)近藤重蔵,最上徳内が探検して〈大日本恵登呂府〉の標柱を立て,翌年高田屋嘉兵衛によって航路が開かれた。1855年(安政2)の日露和親条約によって日本領とされた。汽船航路が開かれた92年から漁民を中心とする移住者も増えた。第2次大戦終了まで根室支庁管轄下にあり,4郡に分かれていた。村落は平たん地の多い西海岸に多い。産業は漁業が中心であったが,硫黄,金,硫化鉄などの鉱床にも恵まれている。現在,ロシアの統治下にあり(イトゥルプIturup島と呼ばれる),軍事的な拠点として整備されたといわれる。日本の固有領土の一つとして返還運動が続けられている。
千島列島
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「択捉島」の意味・わかりやすい解説

択捉島
えとろふとう

千島列島中最大の火山島。北緯 45°,東経 148°付近に位置し,日本の最北端をなす。北東に択捉 (フリーズ) 海峡をへだててウルップ (得撫) 島,南西に国後水道をへだてて国後島が連なる。長さ 200km,幅 30km,面積 3139km2。西単冠 (にしひとかっぷ) 山 (1566m) ,神威岳 (1322m) の火山がある。寛政 12 (1800) 年に近藤重蔵,高田屋嘉兵衛が渡航,漁場 17ヵ所を開いた。周囲の海は,サケ,マス,タラ,カニ,コンブ,ホタテガイなど北洋漁業の有力な漁場。 1945年ソ連 (現ロシア連邦) が占領。北方領土に含まれる。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「択捉島」の解説

択捉島
えとろふとう

千島列島南部にある島。東に得撫(ウルップ)島,西に国後(くなしり)島を望む。島は北東から南西に展開し,面積3183km2で,列島中最も広い。散布(ちりっぷ)山(標高1587m)を最高峰とする火山島。急峻な南東岸にくらべ,北西岸は緩傾斜で平地も開け,蘂取(しべとろ)・別飛(べっとび)・紗那(しゃな)・留別(るべつ)の立地をみた。南東岸中央の単冠(ひとかっぷ)湾は結氷せず,湾奥に年萌(としもえ)港が位置した。この湾はハワイ攻撃への連合艦隊集結地でもあった。第2次大戦後はロシア(旧ソ連)の施政下にある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「択捉島」の解説

択捉島
えとろふとう

千島列島の一つで,列島中最大の島
18世紀末,シベリアを東進してきたロシアから開国・通商要求がおこったので,江戸幕府は1798年近藤重蔵らを千島に送り調査にあたらせた。近藤は択捉島に「大日本恵登呂府」の標柱を建てて帰った。1854年の日露和親条約では,千島列島を南北に二分し,択捉・得撫 (うるつぷ) 間を日本・ロシアの境界線とした。1875年の樺太・千島交換条約では千島全島が日本領となったが,第二次世界大戦後ヤルタ協定でソ連に引き渡された。日本は国後 (くなしり) 島とともにその領有権を現在ロシアに対して主張している。

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デジタル大辞泉プラス 「択捉島」の解説

択捉(えとろふ)島

北海道東部、納沙布岬の北東約119kmに位置する島。第二次世界大戦後、ソ連(現ロシア連邦)が占領。

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