日本海溝(読み)にほんかいこう(英語表記)Japan Trench

翻訳|Japan Trench

精選版 日本国語大辞典 「日本海溝」の意味・読み・例文・類語

にほん‐かいこう【日本海溝】

太平洋北西部、東北日本沖合の海溝。かつては、千島列島沖合の千島カムチャツカ海溝伊豆小笠原諸島沖合の伊豆小笠原海溝を含めて呼ばれたが、昭和三八年(一九六三)以降は千島カムチャツカ海溝と伊豆小笠原海溝中間にある、東北日本の沖合の海溝をいう。最深部八〇二〇メートル。

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デジタル大辞泉 「日本海溝」の意味・読み・例文・類語

にほん‐かいこう【日本海溝】

東北・関東地方沖を南北に走る海溝。長さ約800キロ、最深部8058メートル。北は襟裳えりも沖で千島カムチャツカ海溝に、南は房総半島沖で伊豆小笠原海溝に接する。

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改訂新版 世界大百科事典 「日本海溝」の意味・わかりやすい解説

日本海溝 (にほんかいこう)
Japan Trench

東北日本の東側に沿って,三陸・常磐海岸の約200km沖を海岸にほぼ平行に南北に走る海溝。北は北海道襟裳(えりも)岬南東沖の襟裳海山で千島・カムチャツカ海溝と区切られ,南は犬吠埼東方の第一鹿島海山で伊豆・小笠原海溝とつながる。全長は約800kmである。海溝底の深さは北から南へ階段状に深くなり,最深部(水深8020m)は南端近くにある。海溝底を平らに埋めた堆積物は北ほど厚く,そのため海溝底は北部ではU字形をしているが,南端では堆積物は薄く,V字形の地形断面をもつ。重力のフリーエア異常は負で,海溝底よりも10kmほど陸側に谷をもつ。地殻熱流量は低い。地震活動は他の海溝に比べても著しく激しく,海溝底付近からはじめはゆるく,ついには40度ほど陸側に傾いた深さ700kmにおよぶ深発地震面が明瞭にみられる。地震は太平洋底が陸の下へ向かって斜めに沈み込むために生じる。日本海溝における沈み込み速度は約8cm/年と見積もられている。

 1977年末のグローマー・チャレンジャー号による掘削によって,日本海溝の陸側斜面(久慈沖約120km)に,漸新世末(2300万年前)まで海面上に顔を出していた証拠をもつ地層が見いだされ,親潮古陸と名付けられた。現在ではこの表面は海面下2600mまで沈降し,その上に厚さ約1000mの堆積物をのせて深海平たん面をつくっている。日本海溝での沈み込みにもおよそ1000万年程度の周期をもった脈動があって,陸側斜面前縁部を押し上げたり,沈降させたりしていると考えられる。
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百科事典マイペディア 「日本海溝」の意味・わかりやすい解説

日本海溝【にほんかいこう】

本州東方の海溝。北は襟裳(えりも)岬沖で千島・カムチャツカ海溝と接し,この接合点の海溝軸に襟裳海山がある。南は房総半島南東沖で伊豆・小笠原海溝と接する。この境界は相模湾へ続く深所が分岐する付近である。全長約800km。大陸斜面には2〜3段の海底段丘がある。2400〜3400m以深は多数の階段をなす海溝斜面となって急斜する。大洋側は5600〜6000m以深に海溝に並行の細長い凹地を境にして海溝斜面となる。海溝底はV字形で平らな底が発達する所は少ない。海溝水深は南ほど深く,伊豆・小笠原海溝に接する部分で9000m以上に達する。ただしここは伊豆・小笠原海溝と地形的には一連となっているため,日本海溝最深所はその北の鹿島灘沖8058m。かつて千島・カムチャツカ,日本,伊豆・小笠原の3海溝をあわせて日本海溝と称したが,海溝と島弧の対応性から3分され,1962年の国際的地名統一にも認められることになった。
→関連項目三陸沖地震しんかい6500

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本海溝」の意味・わかりやすい解説

日本海溝
にほんかいこう

日本列島の太平洋側沖合いに連なる海溝。かつては千島から伊豆,小笠原諸島沖合いまでの全体を呼んでいたが,今日では普通,関東地方の沖合いから北海道の襟裳岬の沖合いまで広がる部分をさし,それより北を千島-カムチャツカ海溝,南を伊豆-小笠原海溝として区別している。全長約 800km,平均 7000~8000mの深度。最深部 8412m。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本海溝」の意味・わかりやすい解説

日本海溝
にほんかいこう

東北、関東地方東方沖の海底を南北に走る海溝。長さ約800キロメートル、幅100キロメートル程度、最深8020メートル(鹿島灘(かしまなだ)沖)。日本海溝の北端は北海道襟裳(えりも)岬沖で千島・カムチャツカ海溝と、南端は房総半島沖で伊豆・小笠原(おがさわら)海溝と連続している。古くはこれら三つを一括して日本海溝とよんでいた。

[勝又 護]

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