翻訳|Japan Trench
東北日本の東側に沿って,三陸・常磐海岸の約200km沖を海岸にほぼ平行に南北に走る海溝。北は北海道襟裳(えりも)岬南東沖の襟裳海山で千島・カムチャツカ海溝と区切られ,南は犬吠埼東方の第一鹿島海山で伊豆・小笠原海溝とつながる。全長は約800kmである。海溝底の深さは北から南へ階段状に深くなり,最深部(水深8020m)は南端近くにある。海溝底を平らに埋めた堆積物は北ほど厚く,そのため海溝底は北部ではU字形をしているが,南端では堆積物は薄く,V字形の地形断面をもつ。重力のフリーエア異常は負で,海溝底よりも10kmほど陸側に谷をもつ。地殻熱流量は低い。地震活動は他の海溝に比べても著しく激しく,海溝底付近からはじめはゆるく,ついには40度ほど陸側に傾いた深さ700kmにおよぶ深発地震面が明瞭にみられる。地震は太平洋底が陸の下へ向かって斜めに沈み込むために生じる。日本海溝における沈み込み速度は約8cm/年と見積もられている。
1977年末のグローマー・チャレンジャー号による掘削によって,日本海溝の陸側斜面(久慈沖約120km)に,漸新世末(2300万年前)まで海面上に顔を出していた証拠をもつ地層が見いだされ,親潮古陸と名付けられた。現在ではこの表面は海面下2600mまで沈降し,その上に厚さ約1000mの堆積物をのせて深海平たん面をつくっている。日本海溝での沈み込みにもおよそ1000万年程度の周期をもった脈動があって,陸側斜面前縁部を押し上げたり,沈降させたりしていると考えられる。
執筆者:小林 和男
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東北、関東地方東方沖の海底を南北に走る海溝。長さ約800キロメートル、幅100キロメートル程度、最深8020メートル(鹿島灘(かしまなだ)沖)。日本海溝の北端は北海道襟裳(えりも)岬沖で千島・カムチャツカ海溝と、南端は房総半島沖で伊豆・小笠原(おがさわら)海溝と連続している。古くはこれら三つを一括して日本海溝とよんでいた。
[勝又 護]
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
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