ダーリントン(読み)だーりんとん(その他表記)Cyril Dean Darlington

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダーリントン」の意味・わかりやすい解説

ダーリントン(Cyril Dean Darlington)
だーりんとん
Cyril Dean Darlington
(1903―1981)

イギリス細胞遺伝学者。ロンドン大学卒業後ジョン・イネス研究所勤務。のちにオックスフォード大学教授。1931年、減数分裂体細胞分裂の早熟な型であるとする早熟説をたてた。また染色体が他の染色体および自分自身に巻き付くことに注目し、目に見える螺旋(らせん)は、目に見えない分子螺旋がつくられることにより生じると考え、染色体のねじれや巻き戻しの機構を考察した。また、1940年ころより、カスペルソンの影響を受け、核酸代謝と細胞遺伝学に関する多くの論文を書き、染色体の化学的構造を追究した。そのほか、キアズマ型の二面説、染色体環形成の機構、低温による染色体の退色、異常対合の発見など多数の研究がある。

[石館三枝子]


ダーリントン(イギリス)
だーりんとん
Darlington

イギリス、イングランド北東部にあるユニタリー・オーソリティーUnitary Authority(一層制地方自治体)の都市。人口9万7822(2001)。ティーズ川下流平野の中心に位置する。古来、交通の要衝で、鉄道道路が集中し、商工業が発達する。おもな工業製品は機関車、車両鉄鋼製品、毛織物などである。1825年9月27日、当地ストックトンの間をスティーブンソン発明の世界最初の旅客用蒸気機関車(ロコモーション号)が走った。

[久保田武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダーリントン」の意味・わかりやすい解説

ダーリントン
Darlington

イギリスイングランド北東部の都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。1997年にダラム県から分離して単一自治体となった。ニューカッスルアポンタインの南約 50kmにあり,ティーズ川との合流点に近いスカーン川に臨む。サクソン人ザクセン人)の集落に始まる町で,リンネル,ウーステッドなど織物の製造で知られたが,1825年に東北東 15kmのストックトンオンティーズとの間に世界最初の旅客列車が,ジョージ・スチーブンソンとエドワード・ピーズの共同事業によって運行を開始して以来,機関車製造,鉄道修理などの工業が発達し,鉄道・建設関連の重機械の製造が盛んになった。重工業のほか通信業,サービス業も重要。営業用鉄道で列車を牽引した世界最初の機関車『ロコモーティブ No.1』号はバンクトップ駅構内に展示されている。市街は全体に近代的であるが,12世紀創建の聖カスバート聖堂が残っている。単一自治体面積 198km2。都市人口 8万6082(2001)。単一自治体人口 9万9200(2005推計)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ダーリントン」の意味・わかりやすい解説

ダーリントン
Darlington

イギリス,イングランド北東部,ダラム州南部にある工業都市。人口10万(1993)。ティーズ川の支流スカーン川に臨み,19世紀以降付近の北東イングランド炭田やクリーブランド鉄山を背景に重工業が発展し,現在も鉄鋼,機関車,橋梁などの工場が集中する。グレート・ノース道路に沿う交通要地で,産業革命までは亜麻・毛織物業の行われる地方市場町であった。1825年に17km東方のストックトンStocktonとの間で世界初の旅客列車が運行を開始してから鉄道交通の中心となり,その第1号機関車はバンク・トップ駅に展示されている。市内のセント・カスバット教会は12世紀の初期イングランド様式で知られ,また北郊のエークリフには軽工業団地を含むニュータウンが建設されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android