日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダーリントン」の意味・わかりやすい解説
ダーリントン(Cyril Dean Darlington)
だーりんとん
Cyril Dean Darlington
(1903―1981)
イギリスの細胞遺伝学者。ロンドン大学卒業後ジョン・イネス研究所勤務。のちにオックスフォード大学教授。1931年、減数分裂は体細胞分裂の早熟な型であるとする早熟説をたてた。また染色体が他の染色体および自分自身に巻き付くことに注目し、目に見える螺旋(らせん)は、目に見えない分子螺旋がつくられることにより生じると考え、染色体のねじれや巻き戻しの機構を考察した。また、1940年ころより、カスペルソンの影響を受け、核酸代謝と細胞遺伝学に関する多くの論文を書き、染色体の化学的構造を追究した。そのほか、キアズマ型の二面説、染色体環形成の機構、低温による染色体の退色、異常対合の発見など多数の研究がある。
[石館三枝子]