時代を牽引し続けるアクティブシニア(読み)じだいをけんいんしつづけるあくてぃぶしにあせだい

知恵蔵 の解説

時代を牽引し続けるアクティブシニア

終戦直後の1947(昭和22)年から49(同24)年に生まれた全国700万人の「団塊世代」。この層が定年を間近に控え、ビジネスシーンにも様々な影響を与えようとしている。これまで、団塊世代は、高度成長期の大量消費を経験し、様々なブームやヒット商品を生み出してきた。1960年代のアイビールックや、70年代のアンノン族、80年代のニューファミリーを形成してきたのもこの世代である。こうした世代がリタイアするのに伴い、従来の高齢者のイメージとは異なる高齢者社会が到来するとみられている。 団塊世代は、これまでの高齢者のイメージとは異なり、活動的な側面が強く、消費傾向に大きな変化を生み出している。レストランには、産地農法にこだわるこの世代を強く意識したメニューが並び、映画館では団塊世代向けの夫婦割引きが好評を博している。また、インターネットによる株取引やパソコン、デジカメといったデジタル家電人気を牽引しているのもこの世代である。こうした団塊世代が消費する市場規模は5兆円ともいわれる。アクティブシニアとも呼ばれるこうした世代の好みをつかめるかが、今後のビジネスの成否を左右しそうだ。 一方、この世代が大量にリタイアすることで、都心のオフィス需要の低下や、情報システム分野で熟練エンジニアが大量に不足する事態も懸念されている。シニア層の再雇用という観点からも、団塊世代は社会を大きく変革する可能性を秘めている。

(森岡英樹 金融ジャーナリスト パラゲイト・コンサルタンツシニア・リサーチ・アソシエイツ / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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