日本大百科全書(ニッポニカ) 「時津」の意味・わかりやすい解説
時津(町)
とぎつ
長崎県西彼杵郡(にしそのぎぐん)にある町。大村湾の南西岸に位置する。1951年(昭和26)町制施行。江戸時代は大村湾の北東部、彼杵港(東彼杵町)から湾を縦断して時津港に至る海路の長崎街道の港として栄え、1596年(慶長1)長崎で処刑された二十六聖人の上陸地点に相当する。1905年(明治38)長崎本線の開通に伴い、港はさびれ、半農半漁村となったが、国道206号の開通とともに三菱(みつびし)造船の下請け工場をはじめ各種工業がおこった。また港の埋立地には三菱電機の長崎製作所がある。206号から207号が分岐する。港から長崎空港へ定期便が就航。背後の山地ではミカン栽培が盛ん。浜田(はまだ)郷にはキリシタンの武将長崎甚左衛門(じんざえもん)の墓(県指定史跡)がある。海岸の子々川(ししがわ)郷と日並(ひなみ)郷には海水浴場がある。面積20.94平方キロメートル、人口2万9339(2020)。
[石井泰義]