僧俗の衆のことで,比丘(びく)・比丘尼の出家2衆と,優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)の在家2衆をいう。また昼夜6回念仏を勤行(ごんぎょう)する六時念仏衆の略でもある。中国浄土教の大成者善導が使用したことにちなみ,一遍は念仏をともにする同行の者を時衆とよんだ。以後,教団の名称となり,近世に時宗と公称された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…一向専修を宗とする浄土教系の宗派を広く一向宗と呼んだ。個別的には《天狗草紙》(1296)の詞書に,〈一向衆といひて,弥陀如来の外の余仏に帰依する人をにくみ,神明に参詣するものをそねむ〉とあり,一遍の時衆を一向衆といっている。また,《一遍流義十二派略記》には,〈一遍上人弟子一向上人住江州番場蓮華寺建一向流義〉とあり,一向俊聖の一向派の徒を一向衆と称している。…
…中世の高野聖,善光寺聖(善光寺),絵解聖(絵解き),熊野比丘尼らの遊行は,その奉じる寺社の信仰を勧めたが,一部で商人化,売笑化の道をたどった者もいた。 しかし,遊行聖の典型は,寺に住せず,踊念仏と賦算(ふさん)(念仏の札配り)の一生を送った時宗開祖一遍と,彼に従った時衆に見いだしうる。一遍没後は他阿真教が遊行上人となり,道場経営にも力を入れた。…
※「時衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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