時衆(読み)ジシュ

デジタル大辞泉 「時衆」の意味・読み・例文・類語

じ‐しゅ【時衆】

念仏を唱える僧俗
時宗の僧俗。また、時宗のこと。

じ‐しゅう【時衆】

じしゅ(時衆)

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精選版 日本国語大辞典 「時衆」の意味・読み・例文・類語

じ‐しゅ【時衆】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しゅ」は「衆」の呉音 )
  2. 僧俗の四衆。比丘比丘尼優婆塞優婆夷のこと。
    1. [初出の実例]「是非不虚妄、但明有解者必能信今日所説一理、以勧時衆不信也」(出典法華義疏(7C前)一)
  3. 念仏を唱える僧俗。
    1. [初出の実例]「みめよう若う壮むなる女房達を多く請じ集め〈略〉時衆にさだめ、彼の両日が間は一心称名声絶えず」(出典:平家物語(13C前)三)
  4. ( 時宗の祖、一遍上人がその同志をこう呼んだところから ) 時宗の僧俗。
    1. [初出の実例]「灌頂院祈事者、〈略〉於申時、時衆者三日たらに、不断経面々雖御難義、為希代厳重御祈之者」(出典:高野山文書‐正平一〇年(1355)一一月晦日・山王社上葺事書勘文)

じ‐しゅう【時衆】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しゅう」は「衆」の漢音 ) =じしゅ(時衆)
    1. [初出の実例]「時衆 シシウ」(出典:温故知新書(1484))

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「時衆」の解説

時衆
じしゅ

僧俗の衆のことで,比丘(びく)・比丘尼の出家2衆と,優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)の在家2衆をいう。また昼夜6回念仏を勤行(ごんぎょう)する六時念仏衆の略でもある。中国浄土教の大成者善導が使用したことにちなみ,一遍は念仏をともにする同行の者を時衆とよんだ。以後,教団の名称となり,近世に時宗と公称された。

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世界大百科事典(旧版)内の時衆の言及

【一向宗】より

…一向専修を宗とする浄土教系の宗派を広く一向宗と呼んだ。個別的には《天狗草紙》(1296)の詞書に,〈一向衆といひて,弥陀如来の外の余仏に帰依する人をにくみ,神明に参詣するものをそねむ〉とあり,一遍の時衆を一向衆といっている。また,《一遍流義十二派略記》には,〈一遍上人弟子一向上人住江州番場蓮華寺建一向流義〉とあり,一向俊聖の一向派の徒を一向衆と称している。…

【遊行】より

…中世の高野聖,善光寺聖(善光寺),絵解聖(絵解き),熊野比丘尼らの遊行は,その奉じる寺社の信仰を勧めたが,一部で商人化,売笑化の道をたどった者もいた。 しかし,遊行聖の典型は,寺に住せず,踊念仏と賦算(ふさん)(念仏の札配り)の一生を送った時宗開祖一遍と,彼に従った時衆に見いだしうる。一遍没後は他阿真教が遊行上人となり,道場経営にも力を入れた。…

※「時衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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