暗点(読み)アンテン

デジタル大辞泉 「暗点」の意味・読み・例文・類語

あん‐てん【暗点】

視野中の島状の欠損部分視神経通路にあたる盲点や、目の病気病状として現れるものがあり、その部分は暗色を呈する。
隠された部分、また事柄
「信吾が話しそびれたような―は」〈康成・山の音〉

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精選版 日本国語大辞典 「暗点」の意味・読み・例文・類語

あん‐てん【暗点】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 暗い部分。また、隠れた部分や事柄。
    1. [初出の実例]「幾干(いくばく)かの暗点を有するものなるを以て」(出典一国首都(1899)〈幸田露伴〉)
  3. 目に見える範囲で、局部的に見えない部分。盲斑(もうはん)。盲点。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「暗点」の意味・わかりやすい解説

暗点
あんてん

視野中にある限局性の視野欠損(見えない部分)をいい、その生理的なものを盲点という。暗点は性質によっていろいろに分類できる。暗色のうち、斑点(はんてん)として自覚できるものを実性暗点といい、自覚できないものを虚性暗点という。盲点は生理的な虚性暗点である。視野の中心に現れる暗点を中心暗点といい、円形や類円形のものが多く、視力の低下を伴う。盲点(マリオットの盲斑(もうはん))と中心暗点が連結したものを盲点中心暗点といい、視神経と乳頭黄斑線維束の疾患によっておこる。そのほか、注視点の付近にある暗点を副中心暗点、中心部と周辺部の視野が残っていて、その中間輪状の視野欠損がみられるものを輪状暗点という。また、視野検査で検査視標のまったく見えない暗点を絶対暗点、視標が不鮮明にぼけて見え、あるいは色視標では異なった色に見える暗点を比較暗点という。

[太田安雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「暗点」の意味・わかりやすい解説

暗点
あんてん
scotoma

視野のなかで部分的に見えない部位。出現する場所により中心,輪状あるいは周辺暗点などと呼ばれ,程度により,まったく見えない絶対暗点と,不鮮明に見える比較暗点に分けられる。一過性にきらきらと光るように現れる内輝暗点もある。また,暗点があっても自覚しない虚性暗点と,自覚している実性暗点とがある。マリオット盲点は虚性暗点である。

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改訂新版 世界大百科事典 「暗点」の意味・わかりやすい解説

暗点 (あんてん)

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世界大百科事典(旧版)内の暗点の言及

【視野】より


[視野の異常]
 網膜から後頭葉視覚中枢までの視覚伝導路のいずれかの異常によって起こるが,逆に視野異常の形から,その病変部位を診断することも可能である。視野欠損は,基本的に狭窄,沈下,暗点の3種類に分類される。視野狭窄defectとは,すべての刺激に対し感度がまったく消失した部分が拡大して視野が狭まるものをいう。…

※「暗点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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