曖昧屋(読み)アイマイヤ

デジタル大辞泉 「曖昧屋」の意味・読み・例文・類語

あいまい‐や【曖昧屋】

料理屋茶屋旅館などに見せかけて売春をする家。曖昧茶屋。曖昧宿。

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精選版 日本国語大辞典 「曖昧屋」の意味・読み・例文・類語

あいまい‐や【曖昧屋】

〘名〙 表向きは料理屋や商家、旅館などに見せかけながら、売春婦などをかかえておき、ひそかに客をとる家。曖昧茶屋。曖昧宿。
※歌舞伎・木間星箱根鹿笛(1880)四幕「座敷も暗い曖昧屋でちっと稼げば出来る金」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「曖昧屋」の意味・わかりやすい解説

曖昧屋
あいまいや

秘密売春を行う店。そこで稼ぐ女性を曖昧女(おんな)とよんだ。明治時代に用いられた語。非合法とはいえ暗黙了解のもとになかば公然であった芸妓(げいぎ)や酌婦の売春は除かれる。それ以外の売春宿のことで、対象範囲や業態は文字どおり曖昧であった。秘密ではあっても人の出入りが不自然でないように、飲食店(麦とろ汁粉屋銘酒屋)や遊戯場(矢場、碁会所)に擬装し、抱え女に売春させた。また、裁縫稽古所(けいこじょ)、いけ花教授所の看板を掲げて女性を集め、下級待合などへ派遣する形態もあった。少数の高級私娼(ししょう)を曖昧女という例もあるが、一般には下級に属して料金も安く、ときに美人局(つつもたせ)に類する詐欺行為を生じた。

[原島陽一]

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