有視界飛行方式(読み)ゆうしかいひこうほうしき

改訂新版 世界大百科事典 「有視界飛行方式」の意味・わかりやすい解説

有視界飛行方式 (ゆうしかいひこうほうしき)

航空機の飛行方式の一つ。十分な視界がつねに確保されるような気象状態では,パイロット空港および空港周辺で航空交通管制指示を受けるだけで,あとは独自の判断で自由に飛行できる。これを有視界飛行方式visual flight rulesといい,略してVFRとも呼ばれる。この方式による場合,飛行計画最寄りの空港事務所に提出するだけで飛行でき,VFRに規定された高度であれば,自由にコースを選ぶことができる。ただし,航空機が計器飛行方式IFR)に必要な計器を装備し,パイロットもIFR証明の資格をもっていれば,VFRのできる気象状態でもIFRで飛行することは自由で,現在の大型輸送機は航空交通管制の見地からほとんどIFRで飛んでいる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「有視界飛行方式」の意味・わかりやすい解説

有視界飛行方式
ゆうしかいひこうほうしき
visual flight rules; VFR

航空機が操縦士目視によって飛行する飛行方式。これに対し,航空機の姿勢,高度,位置および針路測定を計器にのみ依存して行なう飛行を計器飛行方式 IFRという。有視界飛行を行なうには,雲高および視程の気象条件が他の航空機や障害物から安全な間隔を保ちながら飛行できるような有視界気象状態 visual meteorological condition(VMC)でなければならず,そのための最低限度が設けられている。たとえば飛行場では視程 5km以上,雲高 300m以上,また管制圏以外の空域を 3000m未満で飛行する場合は水平 600m,上方 150m,下方 300mの範囲に雲がなく,視程 1.5km以上と定められている。逆に,このような気象条件ならば,操縦士は自分の判断で自由に飛行できるが,空港周辺や特定の空域では管制機関の指示に従わなければならない。

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知恵蔵 「有視界飛行方式」の解説

有視界飛行方式

「IFR」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の有視界飛行方式の言及

【航空気象】より

…航空機の運航の安全,快適,効率にかかわる気象。航空機に働く揚力は翼の空気に対する相対速度の2乗と空気の密度に比例する。気温が高い(空気密度が小さい)場合,航空機に向かう風が弱い場合,ともに揚力は減少し滑走距離は長くなる。飛行場周辺の低層の風の鉛直シアー(上層と下層の風の差)が大きいと滑走距離が通常より延びる。また,飛行場の視程が悪かったり,雲が低かったり,強風が滑走路を横切って吹くような場合は,航空機の離着陸は危険になる。…

※「有視界飛行方式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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