末法灯明記(読み)マッポウトウミョウキ

デジタル大辞泉 「末法灯明記」の意味・読み・例文・類語

まっぽうとうみょうき〔マツポフトウミヤウキ〕【末法灯明記】

平安時代仏教書。1巻。延暦20年(801)最澄著と伝えるが疑わしい。末法には無戒名の僧こそが世の灯として尊ばれねばならないと主張したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「末法灯明記」の意味・わかりやすい解説

末法灯明記 (まっぽうとうみょうき)

最澄が801年(延暦20)に著したというが,真偽未詳。1巻。仏教の時代区分に正法(しようぼう),像法(ぞうぼう),末法の三時があるが,末法においては教のみあって行証はなく,すでに戒法が存在しないから,持戒破戒もありえない。この末法では髪をそり袈裟を着ただけの無戒の僧であっても,これを世の真宝,福田,導師,すなわち灯明とすべきであると主張する。本書栄西,法然,道元,親鸞らの著書に引用され,鎌倉仏教思想基盤となる。
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旺文社日本史事典 三訂版 「末法灯明記」の解説

末法灯明記
まっぽうとうみょうき

平安時代の仏教書
1巻。末法の世においては破戒無戒の僧尼も擁護されるべき宝だと述べている。本書の思想が仏教界に与えた影響は大きい。最澄撰と伝えられるが,最澄の他の著作と思想的矛盾があり,平安中期の偽作らしい。

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