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時代区分 じだいくぶんPeriodisierung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

時代区分
じだいくぶん
Periodisierung

歴史の流れを各時代の特徴によって区分すること。時代区分は,歴史を体系的に理解するうえに便利であるというだけでなく,それは発展の学問としての歴史学の構造に基本的な意味をもたせるものである。時代区分の試みは,すでに古代から存在したが,現在最も広く用いられている古代,中世近代の3区分法はルネサンス時代に成立した。この時代のヒューマニストたちは,彼らの時代をギリシア,ローマの古典文化が復興した「新しい時代」であると考え,かつて古典文化が栄えていた「古い時代」と彼らの間の時期を単なる「中間の時代」とみなした。この3時代区分の考えを初めて歴史記述に用いたツェラリウスは,コンスタンチヌス1世 (大帝) までを古代,コンスタンチノープルの陥落までを中世,それ以後を近代とした。この3区分法は,時代の境界に若干の変更を加えながらも,19世紀以来大多数の歴史家によって用いられている。このほか,19世紀のドイツ歴史学派の経済学者たちによって説かれた経済発展段階説に基づく時代区分もあり,また史的唯物論に基づく原始共産制,奴隷制,封建制,資本制,共産制という区分法もある。もとより各国史における時代区分は,各国固有の歴史的発展により,以上のものとは違う場合もある。中国では,初め王朝別による時代区分が行われていたが,19世紀後半から西洋の3区分法を借用するようになった。しかし研究が進展するにつれて西洋の時代区分では中国史を律しきれないことがわかり,古代,中世,近世,近代に分けるようになった。現在,中国では奴隷制,封建制,資本主義,社会主義の各時代に区分している。インドでは支配者によって,古代ヒンドゥーの時代,中世イスラム支配時代,近代イギリス支配時代と区分されてきたが,近代史的唯物論に基づいて,4世紀のグプタ時代以後を封建制とする意見もある。西アジアでは一般にイスラム以前の時代を古代,イスラムの勃興からヨーロッパ資本主義の圧迫とそれに対抗する「改革」時代までを中世,ヨーロッパ資本主義勢力による植民地時代を近代,ナショナリズム勃興による国民国家の成立 (オスマン帝国の滅亡) 以後を現代とみているが,近年ではオスマン帝国の後半期,すなわち 15世紀後半もしくは 16世紀後半以後を近代への萌芽期とみる歴史家もいる。日本史では上世,上古上代,近代などとして用いられたが,最近では古代,中世,近世,近代に統一されている。また中国の王朝別の時代区分に従って,政権の所在地,所有者により大和,奈良,平安,鎌倉,南北朝,室町 (足利) ,安土桃山 (織田,豊臣) ,江戸 (徳川) と区分する場合もある。しかし従来のヨーロッパ中心的世界史の呪縛からの解放をはかる多くの学者たちによって,現在さまざまな新しい時代区分が提唱されている。

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デジタル大辞泉の解説

じだい‐くぶん【時代区分】

歴史を、それぞれの時代の質的な特徴によって、いくつかの時期に分かつこと。西洋史を中心とする世界史では、古代中世近代の三区分法、原始・古代・中世・近代・現代の五区分法などが一般的。日本史では、奈良時代鎌倉時代江戸時代といった政権所在地による区分がよく行われている。

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百科事典マイペディアの解説

時代区分【じだいくぶん】

歴史の流れを世代や時代の特色によって区分すること。西洋史では17世紀末のケラリウスの著書に基づく古代・中世・現代(近代)の3区分法が一般的だが,歴史観や区分目的により異なった区分法があり,世界史を包括的にとらえるような区分法はまだない。
→関連項目読史余論

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世界大百科事典 第2版の解説

じだいくぶん【時代区分 periodization in history】

人間の営為総体が時間の中で変化して今日に至った総過程を,幾つかの時代に分けてとらえることをいい,ある時代をさらに細分することは,しばしば〈時期区分〉と呼ばれる。歴史を時代に区分して理解することは,たんにそのほうが理解に便利だからという理由に基づくものではなく,歴史をどういうものと考え,その歴史の中で現代をどのような位置にあるものと考えるかということ,すなわち一定の時代区分を生み出す歴史観と価値観とに根ざしている。

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大辞林 第三版の解説

じだいくぶん【時代区分】

歴史をその特色によっていくつかの時代に区分すること。歴史観や専門分野によって多様な説がある。たとえば、ルネサンス以来の三区分法(古代・中世・近代)や史的唯物論の奴隷制・封建制・資本制という区分法など。日本史では、古代・中世・近世・近代という区分が広く用いられているが、政権の所在地によって区分することも多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

時代区分
じだいくぶん

人間の生活は毎日毎日が同じような様相を呈している。今日は昨日の連続であり、明日は今日の連続である。しかし、それでも、小学校へ入学したとか、あるいは高等学校を卒業したとか、さらに結婚式をあげたなどをくぎりとすることができる。幼年期や青年期・老年期は生理的にいつからいつまでというぐあいにはっきりとはくぎれないが、こういう各種の行事によって人間の一生をくぎることは可能である。通過儀礼も、意識的に人生にくぎりを設定しようとするための社会による慣習である。個人は誕生したり死亡したりするが、人類の歴史は個々の人生や世代を包含しながら悠久に続いている。歴史も物理的時間としてはいつも同じようである。現在は過去の連続であり、未来は現在の延長である。しかし、長期的にみれば、歴史にはあるまとまった時間の幅で質的な変化がある。すなわち、量的には物理的時間は1000年前も今日も同様のものとしてとらえられるが、歴史の時間はその内容によって質的な違いをみいだしうる。イタリアの哲学者クローチェがいうように「歴史を考えることは歴史を時代区分することである」。歴史をそれぞれ質を異にする「時代」として区分することは歴史的認識の特徴となっている。
 ヨーロッパにおいては一般に古代・中世・近代(近世)という3時代の区分が行われていた(古代・中世・近代の境をどこに置くかについてはさまざまな学説があるが)。これはもともとルネサンス期における歴史意識に由来する。古代が、復興されるべき理想的な文化を生み出した時代であるのに対して、近代は新しい時代であり、古代と近代との中間にある暗黒時代を中世としたのである。この三分法に前後の2時代を加えて、原始・古代・中世・近世・最近世の5時代に区分することを提唱したのはドイツの歴史家ブライジヒKurt Breisig(1866―1940)であり、この分け方が広く行われるに至った。ブライジヒの説の特徴は、諸民族は時間を異にしながらも、それぞれこの5段階を経過するとみたことである。似たような意味で、諸民族に共通する継起的な諸段階を設定する発展段階論が19世紀のドイツにおいてさまざまな形で提唱された。その場合、人間の経済生活の変化に着目する経済史的発展段階論が盛んであった。F・リストによる未開状態・牧畜状態・農業状態・農工状態・農工商状態という5段階区分や、K・ビュッヒャーによる封鎖的家内経済・都市経済・国民経済という3段階区分などが有名である。これに比べてより精密な区分として唱えられたのは、K・マルクスとF・エンゲルスの原始共産制・奴隷制・封建制・資本制という生産様式による区分である。これは原始時代・古代・中世・近代という区分にほぼ相応するといってよい。マルクスはこれを西ヨーロッパだけに限定されるとみていたが、マルクス以後のマルクス主義者は、これを世界史的な普遍的図式と受け取り、さらに社会主義を資本主義以後の段階としてこれに追加することが行われている。
 日本の歴史については、王朝時代・武家時代といった支配層の交替による区分や、大和(やまと)時代・平安時代・鎌倉時代・室町時代・江戸時代といった政権の所在地による区分、さらに文学史では貴族文学・武士文学・平民文学という階層による分け方も行われた。ヨーロッパ史学の影響を受けて、福田徳三や内田銀蔵などによって日本史についても古代・中世・近代という三分法が採用された。このような区分が社会経済史学の進歩と唯物史観史学の発展と結び付き、現在では原始時代・古代・中世・近世・近代・現代という分け方が日本史学界における学説として有力である。このなかで、近世というのは江戸(徳川)時代をさす日本史独自の概念である。しかし奴隷制・封建制・資本制の開始期をどうみるかについて諸説がある。最近ではアメリカのロストウの経済成長を尺度とする5段階区分(伝統的社会・離陸のための準備期・離陸・成熟への前進・高度大衆消費社会)があり、その一部分は経済史家によって取り入れられている。あるいは近代と近代以前とに大別する考え方も現れている。
 こうして時代区分にはさまざまな説があるが、一つの学説だけが正しいとみることはできない。時代区分というものは、あくまでも相対的なものである。古代ギリシア史でさえも、微視的にみれば、そのなかにまた古代・中世・近代という区分をすることができる。いまから数万年後の歴史家は、今日現代とよんでいるものを異なった時代に編入するであろう。時代区分というものも、あくまで今日の歴史学からする見方であり、しかも歴史の発展要因のどれに重きを置くかによる仮説である。[斉藤 孝]
『林健太郎著『史学概論』新版(1970・有斐閣) ▽斉藤孝著『歴史と歴史学』(1975・東京大学出版会)』

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図書館情報学用語辞典の解説

時代区分

主題を時代によって細分すること.例えば,『日本十進分類法新訂9版』の「日本経済史・事情」における,原始時代から昭和時代後期・平成時代までの項目設定がそれにあたる.また,件名標目においても,「日本―歴史―江戸時代」や「日本文学―歴史―平安時代」のように用いられる.

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世界大百科事典内の時代区分の言及

【ヨーロッパ】より

…18,19世紀にヨーロッパ社会は,産業革命によって大きな変質を遂げるのだが,その基本的な枠組みはすでに中世において生まれていたのである。【阿部 謹也】
【中世から近世へ――多様性の継承】

[時代区分上の近世]
 ここで,近世ヨーロッパと呼ぶのは,おおよそ,16世紀の初めのいわゆるルネサンス宗教改革の時代から18世紀末に至るまでの,約300年間のヨーロッパである。通常のヨーロッパ史の時代区分では,16世紀から第1次世界大戦までを一括して〈近代〉と呼ぶことが多い。…

※「時代区分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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