松根油(読み)ショウコンユ

デジタル大辞泉 「松根油」の意味・読み・例文・類語

しょうこん‐ゆ【松根油】

松の根株や枝を乾留して得られる油。テレビン油やパイン油を含む。

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精選版 日本国語大辞典 「松根油」の意味・読み・例文・類語

しょうこん‐ゆ【松根油】

  1. 〘 名詞 〙 針葉樹、特に松の根株を乾留して得る油状物質。特異臭のある無色液体。テレビン油・パイン油などが主成分殺虫剤原料溶剤などに用いられる。
    1. [初出の実例]「岸和田県水島善一郎発明にて松根油(〈注〉コヘマツアブラ)を新製せり」(出典:新聞雑誌‐一六号・明治四年(1871)一〇月)

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改訂新版 世界大百科事典 「松根油」の意味・わかりやすい解説

松根油 (しょうこんゆ)

針葉樹の根を掘り出し,熱をかけて乾留して得られる油。普通にはマツの根からとったものをいう。収量は10~20%。熱をかけ乾留したとき初めにでてくる部分だけを松根油とよぶこともある。あとにでてくるものは松根タールともいう。乾留して得たものを蒸留して,200℃以下のもの(テレビン油),200~300℃で留出するもの(パインオイル)を得,あとにピッチを残す。松根油からとったテレビン油はウッドターペンティンの名で利用されている。主成分はモノテルペン(ピネン,カンフェンなど)のほかトルエンなども含む。殺虫剤の原料,溶剤のほか,オクタン価の高いことから第2次大戦中航空機燃料として使われた。パインオイルの主成分はジテルペンセスキテルペンなどで,ほかにフェノール類が存在する。製紙用サイズ剤などに使われる。主生産国はアメリカ,中国で,日本は全量を輸入している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松根油」の意味・わかりやすい解説

松根油
しょうこんゆ
pine root oil; wood turpentine oil

樹脂に富む針葉樹材,特に根部肥松を低温 (400℃以下) 乾留してつくる油。収率は 15~20%。比重 0.95以上,100℃以下の留分を含まず,250~350℃で炭酸ガスを出して分解する。黒褐色の油状,酸性,特臭がある。用途はテレビン油,クレオソート分解液,松根無水タールの原料で,溶解剤,塗料,樹脂石鹸などに使用される。スウェーデンで盛んにつくられており,日本でも第2次世界大戦末期につくられた。

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百科事典マイペディア 「松根油」の意味・わかりやすい解説

松根油【しょうこんゆ】

マツの根を乾留して得られる油状物質。蒸留・精製によりテレビン油,パインオイル等が得られる。溶剤として重要で,第2次大戦中には接触熱分解等により航空機燃料も製造された。

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