森春濤(読み)モリシュントウ

デジタル大辞泉 「森春濤」の意味・読み・例文・類語

もり‐しゅんとう〔‐シユンタウ〕【森春濤】

[1819~1889]江戸末期・明治初期の漢詩人尾張の人。槐南かいなんの父。名は魯直。あざなは希黄。漢詩の清新な詩風を唱えた。著「春濤詩鈔」。

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精選版 日本国語大辞典 「森春濤」の意味・読み・例文・類語

もり‐しゅんとう【森春濤】

  1. 江戸末期~明治初期の漢詩人。名は魯直。字(あざな)は希黄。春濤は号。尾張国愛知県)の人。槐南の父。鷲津益斎、梁川星巖に学ぶ。茉莉吟社創設。著「東京才人絶句集」「春濤詩鈔」。文政二~明治二二年(一八一九‐八九

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改訂新版 世界大百科事典 「森春濤」の意味・わかりやすい解説

森春濤 (もりしゅんとう)
生没年:1819-89(文政2-明治22)

幕末・明治前期の漢詩人。尾張一宮の人。名は魯直,字は希黄,春濤は号。鷲津益斎の有隣舎で詩を学び大沼枕山(ちんざん)と同門。1874年上京,下谷摩利支天横町に茉莉吟社を設け,翌年,《東京才人絶句》を世に問うとともに詩誌《新文詩》を創刊した。同誌は83年までつづき,子の槐南をはじめ,鷲津毅堂,巌谷一六らの専門の漢詩人はもとより,伊藤博文,山県有朋ら政府高官の投稿を得て明治初期漢詩壇に君臨する勢いを示した。詩は清の問陶,陳文述,郭頻伽らの清新なものを好み,《清廿四家詩》を刊行して世に清詩時代を出現させた。子の森槐南(かいなん)が詩人として名をとどろかしたほか,門下に荷風の父永井禾原(かげん),永坂石埭ら俊秀が多かった。著に《春濤詩鈔》《岐阜雑詩》などがある。
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朝日日本歴史人物事典 「森春濤」の解説

森春濤

没年:明治22.11.21(1889)
生年:文政2.4.2(1819.4.25)
幕末明治期の漢詩人。名は魯直,字は希黄,通称は浩甫,号は春濤。尾張一の宮(愛知県)の医者森一鳥の子。初め医を学んだが喜ばず,鷲津益斎に詩を学び,同門の大沼枕山と共に双璧と称された。のち上洛して梁川星巌知遇を得て詩名を現した。明治7(1874)年には東京に出て茉莉吟社を興し,明治政府の要人をはじめ実力派の詩人たちを擁して江戸詩壇に広く門戸を張り,多くの門人を育てた。また同8年には漢詩専門雑誌の嚆矢とされる月刊の『新文詩』を創刊,明治漢詩の隆盛に寄与した。清詩の影響を受けた艶麗な詩を得意とし,『春濤詩鈔』『岐阜雑詩』などの詩集がある。<参考文献>『明治漢詩文集』(明治文学全集62巻),入谷仙介『近代文学としての明治漢詩』

(揖斐高)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「森春濤」の意味・わかりやすい解説

森春濤
もりしゅんとう

[生]文政2(1819).尾張,一ノ宮
[没]1889.11.21. 東京
江戸時代後期~明治の漢詩人。名,魯直。字,希黄,浩甫。通称,春道。医師森一鳥の長子。鷲津益斎の塾で漢学を修め,のち江戸に出,次いで京都に上って梁川星巌の門に入った。文久3 (1863) 年,名古屋に桑三軒吟社を開いた。維新後の 1874年には東京に出,下谷に茉莉吟社を開き,絢爛華麗な詩風で詩壇に雄歩し,詞華集『東京才人絶句』 (75) や,日本の文芸雑誌の初めといわれる『新文誌』 (75~83) を編集刊行した。『春濤詩鈔』 (1912) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森春濤」の解説

森春濤 もり-しゅんとう

1819-1889 幕末-明治時代の漢詩人。
文政2年4月2日生まれ。妻は森清子(せいこ)。森槐南(かいなん)の父。鷲津(わしづ)益斎,梁川星巌(やながわ-せいがん)に詩をまなぶ。明治7年東京で茉莉(まつり)吟社をおこし,翌年「新文詩」を創刊して明治詩壇の先頭にたった。遺稿詩集に「春濤詩鈔」。明治22年11月21日死去。71歳。尾張(おわり)(愛知県)出身。名は魯直。通称は浩甫。

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世界大百科事典(旧版)内の森春濤の言及

【漢詩文】より

…漢詩ではまず小野湖山,岡本黄石,大沼枕山(ちんざん)らが現れ,陸游,蘇東坡(蘇軾(そしよく)),黄山谷(黄庭堅)らの宋詩を重んじて詩壇を指導した。ついで現れた森春濤(しゆんとう)・森槐南(かいなん)父子は婦女子の恋愛の感情を詠んだ香奩(こうれん)体の詩や,袁枚(えんばい),趙翼,張船山(張問陶),王漁洋(王士禎)らの清詩をさかんに鼓吹し,本田種竹らとともに明治詩壇(ことに後期)における清詩の流行をもたらした。槐南の門からは野口寧斎が出て詩名をうたわれたが,当時これらの人々と独立して活躍していたのが成島柳北,長三洲らである。…

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