極地の探検で用いられたパーティーの運営方法で、現在は、高山あるいは登頂までのアプローチの長大な山を登るのに用いる。アメリカのピアリーが北極探検で用いたのが始めで、ベースキャンプを設営してから、順次前進キャンプを数か所設営しつつ人員、物資を進め、最終キャンプからアタックメンバーが目的地に到達する。多人数の登山や探検には安全度も高く有効な方法で、登山では1922年イギリスのエベレスト遠征隊が用いたのが最初で、日本では32年(昭和7)京都大学隊が富士登山に利用した。ヒマラヤ、アンデスなどの遠征登山では多く用いられている。効果的に目的を達するよう、キャンプの位置、キャンプ間の連絡、装備・食料の補給、メンバーの交代など綿密な計画に基づいて組織的に行うことが必要である。
極地法と反対に少人数で短期間にメンバーも交代せずに目的地に到達する方法をラッシュタクティックスとよぶ。期間、費用も少なく、好天をねらって効果的に行えるところから近年ヒマラヤでも用いられているが、高度の技術をもったメンバーがそろっていることが必要であり、連絡などの問題からも極地法のほうが安全度は高いが、多人数のため機動性が低く費用も多額になる点が問題である。
[徳久球雄]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…1899‐1900年には北極点を目ざした。登山の極地法はこのとき彼が用いたのが最初とされる。第1次世界大戦ではイタリア海軍司令長官をつとめた。…
…登山の形式としては,(1)一つの山で同じコースを登降する往復登山,(2)一峰または山脈などの一方の側から登山し,他の側に下りる横断登山,(3)いくつかの山頂を連ねて歩く縦走登山,(4)山麓あるいは山中に根拠地を置いて周囲の山々へ登降する放射状登山,(5)一つの山頂をめざして,数パーティが違うルートから登山する集中登山,(6)渓谷沿いに登降する遡行などがある。さらに,極地法と呼ばれる,大人数の支援を受けて次々とキャンプを設営し,最後に攻撃隊が頂上をきわめるという方法もあり,ヒマラヤなどで行われる。
[登山計画]
まず目的の山を選び,登山期日を決め,隊(パーティ)のリーダーを決定する。…
※「極地法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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