概念論(読み)がいねんろん(英語表記)conceptualism

翻訳|conceptualism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

概念論
がいねんろん
conceptualism

スコラ哲学の普遍論争における中庸的立場。普遍者は単なる名辞であるとする唯名論に対しては,実念論同様普遍者の実在を認める。しかしそれは概念として心中にあり,その実在性は概念の妥当する個的存在に依存するとして,個体にのみ実在を認める唯名論に近づく。すなわち普遍者の実在はまったく抽象的,概念的である。概念論の代表者アベラールは,唯名論のロスケリヌス,実念論のシャンポーのギヨームの2人の師に反対して自説を確立した。彼は同一の客語が多くの主語について述べられることに注目し,精神が取出すこの個体間の共通性を普遍者であるとした。アベラールの理論に基づいて出された結論によれば,普遍は神の創造の原型的イデアとして物の先に,個体の形相として物の中に,思惟にあっては物ののちに存在するとされた。概念論はプラトンのイデアが近世的な観念の意に転じていく境界に位置する理論である。

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大辞林 第三版の解説

がいねんろん【概念論】

中世スコラ哲学の普遍論争における考え方の一。普遍という性格をもつものは物でも言語でもなく、概念であるとする。普遍実在論と唯名論との中間に位置する。唯名論者アベラールの説とされることがある。

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世界大百科事典内の概念論の言及

【アベラール】より

…《論理学》ではギヨームに見られる極端な実念論を排し,普遍的なものは精神の外ではなく内に,概念としてのみあるとした。これは実念論と唯名論のいわば中間のもので,のちに概念論conceptualismの名で呼ばれる。《然りと否》はのちのスコラ学にとって重要な作である。…

【概念】より

…実念論のうちには普遍概念が経験的個物を超越して存在するイデアであると考えるプラトン的方向と,それを自然の中や間に実在する生物学的な種や類とみなすアリストテレス的傾向が類別される。これに対して,抽象概念とは人間の心の対象としてのみ存在する概念にすぎないとみる概念論の立場や,さらに,実在するのは個物だけで抽象的普遍とは単なる名前であると考える唯名論があり,三つの見地が鼎立(ていりつ)する。一般に,中世正統派や理性論的傾向の哲学は実念論的であり,イギリス古典経験論を一例とする経験主義の哲学では概念論,とくに唯名論的性格が顕著である。…

※「概念論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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