標準物質(読み)ヒョウジュンブッシツ

化学辞典 第2版 「標準物質」の解説

標準物質
ヒョウジュンブッシツ
standard reference material

単一または複数の特性値が十分均一で,よく確定された物質または材料.国が供給する国家標準物質と民間団体などが供給する標準物質とがある.各種化学分析などにおいて,定量的な目盛りの役割を果たすとともに,機器の使用条件,特性,分析者の差異などの補正のために用いられる.標準物質の正確な使用による分析の客観性の確保により,相互比較,商取引,各種の規則や安全対策の基盤となる.化学分析計測用標準物質と物性・工業量標準物質がある.前者濃度あるいは組成に関する特性値を付与された標準物質で,無機および有機系の純物質系標準物質と組成標準物質とがある.組成標準物質には鉄鋼標準物質,海水標準物質,岩石標準物質,血清標準物質などがある.後者は濃度あるいは組成以外の特性値を付与された標準物質で,温度および熱的特性,密度,屈性率,硬さ,粘度などさまざまな物性に関するものがある.国際的にはISOガイドがある.ISOガイドは,基本的にはISO委員会の内部での使用を目的としているが,日本工業規格としても受け入れられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵 「標準物質」の解説

標準物質

機器の校正、測定法の評価や物質の値付けに用いるのに十分に均質かつ安定で、1つまたはいくつかの特性が確定した物質。測定系の校正や測定手順の評価、あるいは他の物質用の同種の量に不確かさを付与するために用いられる。化学分析用の標準試料(純物質、混合気体、液体固体懸濁液など)が代表的な例。測定標準として校正に用いるものと、日常管理に用いるものとがある。トレーサビリティー体系に連鎖する技術的に有効な方法で認証され、不確かさを明記した証明書を伴ったものを認証標準物質(certified reference material)と呼ぶ。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「標準物質」の意味・わかりやすい解説

標準物質
ひょうじゅんぶっしつ
standard substance

成分の含有量が明確にされていて,容量分析における標準溶液の力価を決定する基準となる物質のこと。あるいは重量分析,比色分析など種々の化学分析の標準にする物質をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「標準物質」の解説

標準物質

 標準試料,標準品ともいう.諸種の物質の定量,検定などに対して標準となる物質.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の標準物質の言及

【濃度計】より

…一方,導電率式濃度計のように選択性がないものは妨害成分が影響しないような場合に使用される。(2)絶対測定方式でないために,あらかじめ組成,濃度が正確に与えられている物質(標準物質)によって計器の目盛を調整すること(目盛校正)が必要とされる。このことは,標準器と比較して目盛校正を行うことのできる浮ひょう型濃度計やはかり,水道メーターなどの他の計量器との重要な相違点である。…

※「標準物質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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