横関(読み)よこぜき

百科事典マイペディア 「横関」の意味・わかりやすい解説

横関【よこぜき】

近江国蒲生(がもう)郡にあった地名で,現在の滋賀県近江八幡市・竜王町にあたる。中世には商人集団の活動があり,1463年から横関商人は呉服の本座をめぐって得珍(とくちん)保商人(保内商人)と相論となり,敗訴しているが,このとき自らを延暦(えんりゃく)寺根本中堂寄人(よりうど)と称している。この対立は1501年に再燃,横関商人が島郷市で保内の商売物を押し取ったが,やはり保内の権益が認められている。また同年には日野市でも保内と争うとともに,横関下郷の呉服商売について左近衛府駕輿丁(さこんえふかよちょう)の商人と紛争を起こしている。1521−1528年には横関市での商売をめぐって石塔寺(いしどうじ)上郷の商人が保内商人の訴えで活動を停止させられている。
→関連項目三村荘

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改訂新版 世界大百科事典 「横関」の意味・わかりやすい解説

横関 (よこぜき)

近江国蒲生郡の地名。横関川をはさんで東西に分かれ,東横関は現在は近江八幡市,西横関は現在は滋賀県蒲生郡竜王町に属す。この地には中世後期には商人集団がおり,市庭があって繁盛していたようである。《近江今堀日吉神社文書》によると,1463-65年(寛正4-6)に横関商人と得珍保商人が呉服の本座をめぐって相論しており,一時横関方に有利な裁決があったが,結局は得珍保商人の勝利となった。1502年(文亀2)にも争いが再燃したが,これも得珍保の勝利に終わっている。この年には後柏原天皇の綸旨があり,左近府駕輿丁の商人が横関下郷の市庭において商売をすることが認められた。28年(享禄1)には得珍保商人の訴えにより,横関の市庭で商売をしていた石塔寺(いしとうじ)上郷の商人がその営業を停止された。このような一連の事件により,近隣の商人たちが横関の市庭への進出をねらっていたことがうかがわれる。また西横関の若宮神社所蔵の1487年(長享1)の鰐口銘文は〈江州蒲生下郡桐原郷内横関市庭若宮大明神鰐口也〉とあり,当時は桐原郷内であったことが知られる。
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世界大百科事典(旧版)内の横関の言及

【呉服座】より

…室町時代,四府所属の駕輿丁(かよちよう)たちが各種の商工業を営むようになるが,左近衛府・左兵衛府所属駕輿丁たちは洛中洛外で呉服の特権的な取引を行い,路次などで呉服の振売をする商人を排除するようになっていた。彼らはさらに近江蒲生郡横関下郷にまで進出し,山門延暦寺の本院東谷を本所とする同郡の保内呉服座と市場の争奪を行うようになった。横関にはこのほかに山門根本中堂の寄人身分をもつ呉服座があり,15~16世紀に保内呉服座と近江国内市町での呉服売買の特権をめぐって争っている。…

※「横関」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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