檜山番所跡(読み)ひやまばんしよあと

日本歴史地名大系 「檜山番所跡」の解説

檜山番所跡
ひやまばんしよあと

[現在地名]檜山郡江差町字中歌町

中歌なかうた町の北端、通り東の山側、小高くなった斜面松前藩が設けた番所。跡地に明治二〇年(一八八七)に建てられた檜山爾志郡役所庁舎(道指定文化財)が現存する。

「福山秘府」などによると、松前藩にとって当地一帯の檜樹は重要資源で、木材伐採にかかわる檜山山監(官府)上ノ国村に置いていたが、延宝六年(一六七八)厚沢部あつさぶ(現厚沢部町)の檜山開発を始め、官府を江差に移して檜山番所と改称し、檜山奉行(江差檜山奉行ともいう)を置いたという。檜山奉行の初期の職掌は不明な部分が多いが、同年二月七日付で他国より出入りの船主・船頭・水主らの宗旨吟味(寺判を確認)をし、どこに宿すか加判して、出港するまで手形を取っておくように命じられていた。また同日付で江差・江差浜・厚沢部留場・厚沢部蝦夷村の四ヵ所に、材木の川流しの支障にならないように川筋を荒さないこと、留山の檜木はもちろん松・雑木も無断で伐採したり、盗んだりしないこと、番所に無断で木の皮を剥がないこと、山師に無断で山子から材木を買わないこと、木材留場周辺で火を焚かないこと、判をもたない杣を雇わないことなどを記した制札が出されており、檜山奉行は藩直営の檜山七山(留山)の一切の管理を行っていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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