檜物師(読み)ヒモノシ

デジタル大辞泉 「檜物師」の意味・読み・例文・類語

ひもの‐し【×檜物師】

檜物細工職人檜物工ひものだくみ

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精選版 日本国語大辞典 「檜物師」の意味・読み・例文・類語

ひもの‐し【檜物師】

〘名〙 檜・杉を材料として木具類を作る職人。ひものだくみ。〔庭訓往来(1394‐1428頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「檜物師」の意味・わかりやすい解説

檜物師 (ひものし)

檜物はもともとヒノキの材でつくった薄い曲物(まげもの)をいったが,後にはひろく曲物の総称となった。曲物は薄板を曲げ円形または楕円形につくった容器で,箍(たが)を用いず,桜や樺の皮を細く割いたものでとじたものである。竹の箍でしめた桶,樽がつくられる以前は,水やしょうゆなどの容器としては,こうした曲物か刳物(くりもの)が使われていた。檜物師の道具にはいろいろな形の小刀と鐁(鉇)(やりがんな)があった。その製品にはメンツ,ワッパと呼ぶ弁当箱,柄杓ひしやく),三宝,飯櫃(めしびつ),苧桶(おぼけ),蒸籠(せいろう),篩(ふるい)などがある。檜物師は,こうした庶民の日常生活と結びつきの深い用具をつくったが,早くから自立した諸職の一つである。江州日野周縁の檜物荘の起立は古いが,鎌倉時代には各地に檜物座も成立し,室町時代の《庭訓往来》に芸才七座の店の中にその名がある。また《七十一番職人歌合》にも,当時の市町(いちまち)の檜物師が描かれている。大工町,鍛冶町と並んで,古い城下町に檜物町という地名のあることは,よく知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「檜物師」の意味・わかりやすい解説

檜物師
ひものし

15世紀ころから、木材加工の曲物(まげもの)や造物(つくりもの)など生活用具をつくった職人。曲物は檜(ひのき)の薄い板を曲げて円くし、樺(かば)や桜の細い皮で綴(と)じたもの。檜物ともいった。17世紀には杉、槙(まき)も材料とし造物もつくった。造物は曲物の技法方形にしたもの。曲物を専門にするものを曲物師といった。居職(いじょく)で、販売を兼ねたものは檜物屋である。

遠藤元男


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