市町(読み)いちまち

世界大百科事典 第2版の解説

いちまち【市町】

日本古代の都城制で設定された,生産物販売のための特殊な地域。平安京には東,西の市町があって,市司(いちのつかさ)の管理下に,東市に51鄽(くら),西市に33鄽が設定されている。鄽とは商品の種類を指すが,〈市町ニ売ル物モ販女(ひさぎめ)ノ売ル物モ極テ穢キ也〉(《今昔物語集》)とあるように,行商にたいして市町には固定した店舗があることを示し,鄽も政府から指定された商品を売買する店舗の意味に転化すると解してよい。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

いち‐まち【市町】

〘名〙
① 奈良、平安時代における市人(いちびと)の居住地域。市司(いちのつかさ)の監督下に置かれた。市籍を持たない商人も住んで地子(じし)を負担した。
※延喜式(927)四二「凡居住市町之輩、除市籍人地子
② 店舗を構えて商品を販売する場所。
※今昔(1120頃か)三一「市町に売る物も販婦(ひさきめ)の売る物も」
③ 町なか。市街地。世間。
落書露顕(1413頃)「歌ざまの事、如市町説ば、詠歌の体、其意自由にして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の市町の言及

【市】より

…これらの市は,商品経済の発展にしたがってしだいに淘汰され,大きな市に統合されていった。そして市町といわれる町場と市との併存形態の中心集落が形成された。この中心集落は在地武士の城館と結合する場合が多く,尾張国では,16世紀,19の中心集落が,城下市町として,ほぼ4~6kmの間隔で分布して形成されていた。…

【城下町】より

…守護町から戦国城下町に発展したものは鹿児島,人吉,山口,石寺,駿河府中,甲斐府中などで,多くない。一方,室町期に国人領主らの営む城館集落には,近隣に市町(いちまち)をもつものがみられるようになり,彼らの戦国大名化とその領国支配の進展にともなって,戦国大名は城郭の整備とともに近隣の市町を吸収し,ここに城下町が出現することとなった。ただ戦国城下町で計画性をもち整備されたのは市町のみで,しかも市町に給人が進出し,市屋敷を所有することもみられた。…

※「市町」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

バンクシー

英ロンドンを中心に活動する覆面アーティスト。世界各地の街に現れて建物の壁などに社会風刺的なグラフィティアートを描くなど、ゲリラ的なアート活動を行っている。2005年に自身の作品を世界各国の有名美術館に...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

市町の関連情報