櫟野寺(読み)らくやじ

日本歴史地名大系 「櫟野寺」の解説

櫟野寺
らくやじ

[現在地名]甲賀町櫟野

櫟野いちのしもくみ垣内にある。天台宗で、福生山と号し、本尊十一面観音。櫟野の観音さんと親しまれている。延暦一一年(七九二)最澄が櫟樹の立木を伐って本尊を彫刻し、安置したことに始まると伝え、同二一年には坂上田村麻呂が鈴鹿の山賊を追討するにあたって同観音に祈願したという。その験により大同元年(八〇六)田村麻呂が一宇を建立、自像を彫刻し、観音堂に参詣した者には子孫の長久安産眼病の効験があることを誓ったという。寺蔵の毘沙門天像は、弘仁年間(八一〇―八二四)村人が田村麻呂の威徳に感じてその姿を作像したものと伝える。建久元年(一一九〇)源頼朝の上洛の際にも、代拝を派遣したという。元禄三年(一六九〇)の頃当寺で櫟野いちいの村の正月のオコナイが行われていた(村田文書)

〈近江・若狭・越前寺院神社大事典〉

〔寺観と文化財〕

本堂は寛政三年(一七九一)再建されるが、昭和四三年(一九六八)焼失

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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