次韻(読み)ジイン

デジタル大辞泉 「次韻」の意味・読み・例文・類語

じ‐いん〔‐ヰン〕【次韻】

他人の詩と同じ韻字を同じ順序で用いて詩作すること。また、その詩。→和韻
[補説]書名別項。→次韻

じいん【次韻】[書名]

江戸前期の俳諧集。松尾芭蕉編。1冊。延宝9年(1681)刊。伊藤信徳らの刊行した「七百五十韻」を次ぐ形で編まれたもの。俳諧次韻

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精選版 日本国語大辞典 「次韻」の意味・読み・例文・類語

じ‐いん‥ヰン【次韻】

  1. [ 1 ] ( 「しいん」とも ) 他の漢詩の韻字に合わせて、それと同じ韻字を同じ順序で用いて詩作すること。また、その漢詩。和韻。
    1. [初出の実例]「和高進士見年詞題贈次韻」(出典:田氏家集(892頃)上)
    2. 「不相応な送別の詩などを、然も無理やりに請求して次韻などさすことはよくないことと」(出典:病牀六尺(1902)〈正岡子規〉一一三)
    3. [その他の文献]〔文体明弁‐巻一六〕
  2. [ 2 ] 俳諧撰集。松尾芭蕉編。一冊。延宝九年(一六八一)刊。芭蕉・其角・才丸・揚水の四人で作った五十韻一巻、百韻二巻、余興四吟四句の連句集。京の「七百五十韻」を継いで千句満尾をしたもので、漢語を多く用い、京・江戸が呼応して新しい作風を展開し、従来の談林調をのりこえて蕉風の芽ばえを示している。

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普及版 字通 「次韻」の読み・字形・画数・意味

【次韻】じいん(ゐん)

他人の作った詩の韻を用い、これに和する。和詩の一。〔旧唐書、元伝〕(自叙)(白)居易、(もと)より詩を能くす。~聲を窮極し、~以て相ひ投寄す。小生戲れにに排し、別に新辭を創(つく)り、名づけて相酬と爲す。

字通「次」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の次韻の言及

【和韻詩】より

…中国の詩で,別人の詩に用いられている韻字と同類の韻を用いたり,あるいはそこに用いられている韻字をそのまま用いて作ったりした詩をいう。〈依韻〉〈用韻〉〈次韻〉の3種類がある。 〈依韻〉というのは,原作がたとえば上平一東の韻であるならば,それにあわせて上平一東の韻字を用いて作った詩をいい,和韻詩の中でもっともたやすい遊びである。…

【芭蕉】より

…78年に立机,日本橋小田原町で点業を始め,《桃青三百韻附両吟二百韻》(1678),《桃青門弟独吟二十歌仙》(1680),桃青判《田舎之句合》《常盤屋之句合》によって一門を確立したが,80年冬点業を廃止し,深川村に草庵をかまえて俳隠者となった。この前後,宗因風の衰退するなかで《荘子》に心酔し,擬漢詩体の新風を率先して《次韻(じいん)》(1681)を刊行したが,82年(天和2)冬の大火で芭蕉庵を焼失し,以後,一所不住を志して行脚と庵住をくりかえしながら蕉風を樹立した。 《甲子吟行(かつしぎんこう)》によって知られる第1次行脚(1684年秋~85年夏)は,名古屋連衆との出逢いで《冬の日》(1684)の成果を生み,以後の吟行に擬連歌体の俳言(はいごん)のない発句が目立つ。…

※「次韻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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