広くは贈答の漢詩の答えにあたる漢詩のことをいい、また、中国の詩に対して日本人のつくった漢詩のことをいう。漢詩に対して和歌のことをいう場合もある。
狭くは江戸時代に支考が考案した仮名詩のことをいい、それに蕪村(ぶそん)らの自由詩を含めることもある。また支考らの仮名詩と区別して蕪村らの自由詩を和詩ということもある。支考は俳文の一格として仮名交じりの詩をつくることを考え、漢詩の絶句(四行)や律詩(八行)に学び、五言・七言にあたるものとして十音・十四音とし、さらに五十音図の横列によって韻を踏んだ。それを仮名詩とよび、作品は主として支考編の『本朝文鑑(ぶんかん)』(1718)、『和漢文操(ぶんそう)』(1727)に収められている。その後、仮名詩には種々の変型が現れ、押韻のないものや、七・七調六行の新体なども行われ、さらにいっそう自由な形式のものも現れてきた。仮名詩の初期の作品は、規則に縛られて詩趣に乏しいものが多いが、形式が自由になるとともに、文学的に多少みるべきものも現れ、完全に自由な詩である蕪村の「北寿老仙(ほくじゅろうせん)をいたむ」「春風馬堤曲(しゅんぷうばていのきょく)」などはとくに優れた作品である。
[山下一海]
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