歌舞伎年表（読み）かぶきねんぴょう

改訂新版　世界大百科事典

歌舞伎年表 (かぶきねんぴょう)

書名。全8巻。伊原敏郎著。河竹繁俊・吉田暎二（てるじ）編集・校訂。1963年5月完結。1894年伊原敏郎（伊原青々園）は坪内逍遥の委嘱により《早稲田文学》誌上に歌舞伎の沿革を執筆することになった。これを機に伊原は演劇史研究を畢生の仕事と定め関根只誠の稿本《戯場年表》をもととして《歌舞伎年表》を作りはじめた。それは以後生涯書き続けられ，江戸之部22冊，京阪之部21冊に及んだ。この稿本を整理し江戸と京阪を上下で対照させて刊行した。江戸初期から明治40年（1907）に至る歌舞伎年代記で，歌舞伎研究には不可欠な書。第8巻には詳細な索引を付す。
執筆者：林 京平

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

歌舞伎年表
かぶきねんぴょう

伊原敏郎(としろう)（青々園(せいせいえん)）の著書で、歌舞伎史研究の基礎文献の一つ。著者の没後、河竹繁俊(しげとし)、吉田暎二(てるじ)の校訂編集により、全8巻が岩波書店から刊行（1956～63）された。1559年（永禄2）から1907年（明治40）までの江戸と京坂の歌舞伎の上演記録を中心とし、役者評判記などの抜粋や俳優の動向など、多くの関係資料を加えてまとめたもの。関根只誠(しせい)編の『戯場(ぎじょう)年表』をもとにし、これに諸資料を増補していく方法で成ったものという。いわゆる『歌舞妓(かぶき)年代記』類が用いなかった役者評判記の記事を豊富に採用した点に特色がある。東京の部の原稿は1895年（明治28）までであったが、刊行にあたって補足し、京坂の部の末尾と年代をあわせてある。

［服部幸雄］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)