歯車を加工する工作機械の総称。円筒や円板などの外周面,内周面,あるいは端面に歯(歯形)を削り出すのに用いられる。歯切盤での歯形の加工方法は創成法と呼ばれ,切削すべき歯車と正しくかみ合う歯車を刃物(歯切工具といい,その形態によりホブ,ピニオンカッター,ラックカッターなどと呼ばれる)とするもので,歯形をつけるべき工作物と歯切工具が互いにころがり運動を行い,その運動の軌跡の包絡線としてインボリュート,あるいはサイクロイド曲線を形成して歯形を削り出す。歯切盤には歯車の種類に対応して数多くの機種があり,平歯車の加工に用いられるホブ盤,歯車形削り盤はその代表的なものである。歯車形削り盤による加工の例を図に示したが,工作物は回転運動と前後進運動を,ピニオンカッターは回転運動と上下方向往復運動を行い,しかも両者の回転運動は同期されている。近代工作機械の一種としての歯切盤の歴史は,19世紀後半にドイツでホブ盤,アメリカで歯車形削り盤が開発されたことにより始まった。現在でも歯切盤の分野ではこの2国が世界の最先端にある。最近では,数値制御技術が歯切盤にも導入され,その結果,非円形の板に歯形をつけた歯車(非円歯車),穴と外周面の中心が一致していない円板に歯形をつけた歯車(偏心歯車),歯の厚さが歯車の幅方向に連続的に変化する平歯車(テーパー平歯車)など,特殊歯車も簡単に加工できるようになった。
→工作機械
執筆者:伊東 誼+西脇 信彦
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…立て削り盤,形削り盤,平削り盤などはこの時期に開発された。19世紀後半以降,工作機械の発達の中心はアメリカおよびドイツに移り,この時期になると,現在のような電動機直結運転が行われ,研削盤,歯切盤などが開発された。20世紀に入ると,よりよい性能の製品を作り出すために,工作機械は急速な発展を遂げ,歯車研削盤,ホーニング盤などが開発された。…
※「歯切り盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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