殺生河原(読み)せっしょうがわら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「殺生河原」の意味・わかりやすい解説

殺生河原
せっしょうがわら

群馬県吾妻(あがつま)郡草津町(くさつまち)、草津白根火山(しらねかざん)の南東山腹にある旧火口の一つ。標高約1600メートルにあり、幾多の溶岩に多くの硫気孔がみられる。殺生河原の名は、硫気孔から出る硫化水素ガスのために生物が死ぬことから出た。明治時代には盛んに噴出して硫黄(いおう)の結晶を昇華していたが、いまはかなり広い地域の荒れた溶岩から発する臭気が鼻をつく。国道292号が通じる。また、白根火山ロープウェー山麓(さんろく)駅があり、そこから草津温泉街へ殺生・草津自然遊歩道が延びる。

[村木定雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「殺生河原」の意味・わかりやすい解説

殺生河原
せっしょうかわら

群馬県北西部,白根山 (草津白根) の南東斜面の地名。標高約 1600m。本白根山 (2176m) が大噴火をしたときの溶岩流 (石英を含む輝石安山岩) で,多数の硫気孔がみられ,硫化水素を多く含む噴気で臭気が強い。噴気孔の周囲は硫化水素が酸化されて,みごとな針状の結晶をなす。付近にはシャクナゲ原生林もある。白根山頂付近までロープウェーが通じる。一帯上信越高原国立公園に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の殺生河原の言及

【白根山】より

…湯釜の水はpH1.1の強酸性で,湖底の噴気孔から出る硫化水素によってエメラルドグリーンの神秘的な色を呈する。 白根山は上信越高原国立公園に含まれ,東側山腹にアズマシャクナゲとハクサンシャクナゲの群落(天)があり,標高1600m付近には多数の硫気孔により植物が育たず,動物が死ぬこともある殺生(せつしよう)河原がある。ここから山頂近くの逢ノ峰までロープウェーが通じる。…

※「殺生河原」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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