白根山(読み)シラネサン

デジタル大辞泉 「白根山」の意味・読み・例文・類語

しらね‐さん【白根山】

栃木・群馬県境にある火山。北西麓には丸沼菅沼があり、日光国立公園に属する。標高2578メートル。日光白根
群馬県北西部、長野県境近くにある活火山。山腹に万座草津などの温泉郷がある。上信越高原国立公園に属する。標高2160メートル。南接の本白根山もとしらねさんを含むこともある。草津白根
山梨・静岡両県にまたがる赤石山脈北部の北岳(3193メートル)・あいノ岳(3189メートル)・農鳥のうとり(3026メートル)の総称。北岳は富士山に次ぐ高峰。白峰山。白根三山。甲斐かい白根。
[補説]平成30年(2018)1月23日に本白根山が噴火し、死者1名を含む人的被害が発生した。水蒸気噴火とみられ、顕著な前兆現象はなかった。

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精選版 日本国語大辞典 「白根山」の意味・読み・例文・類語

しらね‐さん【白根山】

  1. [ 一 ] 群馬県北西端にある火山。南側の本白根山(二一七一メートル)とともに双子(ふたご)火山を形成する。山腹に草津・万座の両温泉がある。上信越高原国立公園の一部。標高二一六〇メートル。草津白根。
  2. [ 二 ] 栃木・群馬の両県境にある火山。日光国立公園の一部。標高二五七八メートル。日光白根。
  3. [ 三 ] 山梨・長野・静岡の三県境にある赤石山脈北部の三峰、北岳(三一九二メートル)、間ノ岳(三一八九メートル)、農鳥岳(三〇二六メートル)の総称。南アルプス国立公園の一部。白峰山とも書く。白根(峰)三山。甲斐白根

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日本歴史地名大系 「白根山」の解説

白根山
しらねやま

県北西部の長野県境近く、草津町と嬬恋つまごい村の境にある。現在活動中の白根山(二一三八メートル)と活動時期の古い休火山本白根もとしらね(二一六四・八メートル)とが、北と南に二つの頂上をもって連なる。東山麓に草津温泉、西中腹に万座まんざ温泉(嬬恋村)、北に信州志賀しが高原があり、上信越高原国立公園の中核部に位置する。日光白根と区別し草津白根山ともよばれる。白根山頂中央にエメラルドグリーンの水をたたえる湯釜ゆがま、その東に水釜みずがま、西に涸釜からかまとよぶ火口がある。本白根山頂のかがみ池では珍しい環状構造土がみられる。多くの観光客を集める湯釜は活発な活動を繰返し、pH〇・八六という世界一の強酸性湖である。古くから良質な硫黄を産することで知られ、山頂をはじめ山麓に多くの硫黄鉱山があった。

昭和三〇年(一九五五)頃、湯釜西北部火口壁の厚さ七〇センチほどの硫黄層最下部から笹塔婆二四片が出土した。平安末期―鎌倉期のものと推定され、いずれも破片で意味が通じにくいが、「願以此功徳普施諸女人同出血盆経往生」などは祈願を意味、「正教血盆経」は仏典に関係する。血盆経の普及時期が室町期であることから笹塔婆の年代を若干新しいとする説もある。草津入口の白根神社は古くは本白根(古白根)山を真西に仰ぐ地にあり、山頂の奥宮(本宮)に対する里宮(拝殿)であったと考えられる。旧鎮座地には修験者の祈祷壇とされる四角の土壇があり、本白根山中腹の富貴原ふきはら池で山頂の霊域に向かって登る修験者が禊・祓を行い、身体の穢を除き山頂の霊場に入ったとされる。やがて白根山噴火とともに修行・信仰の中心が本白根から白根山へ移り、白根登山途次の武具脱もののぐ池で禊・祓を行い清めたと考えられる。総社本「上野国神名帳」に従一位白根明神とともに載る従二位小白根明神とは「古白根」の意ともいわれる。


白根山
しらねさん

芦安あしやす村の南西部から早川はやかわ町にまたがり、静岡県との県境に連なる山々。きた岳のみをさすこともあるが、北岳・あいノ岳・農鳥のうとり岳の白根三山、もしくはそれらを含む山塊をいうことが多い。北端の主峰北岳から南端の農鳥岳までの約七キロの間には、三山以外にも中白根山・西農鳥岳など三〇〇〇メートル級の峰々が連続し、高度の点において日本屈指の稜線をなし、南アルプス国立公園の中核である。

「裏見寒話」では「白根ケ嶽」と書き、「富士に続いての高山也、盛夏まても雪あり、其雪の年中絶さるを以て、白根ケ嶽の名あり、此山を甲斐ケ根とも云ふ」と記す。甲斐が根かいがね(嶺)の呼称は山麓にも残り、甲斐の高い山といった程度の漠としたものをさしたと思われる。白根とはもともとは「白い峰(嶺)」の意味で、高峰なるがゆえに周囲の峰々よりも冠雪期間が長く、山名もそうした特徴に由来するのであろう。初夏に至っても甲府盆地からは雪を深く頂いた白根の山々をみることができる。平安・鎌倉時代には甲斐が根・甲斐の白根とうたわれ、「平家物語」巻一〇海道下に、捕虜となって鎌倉に下る平重衡が駿河の手越てごし(現静岡市)で詠んだ「おしからぬ命なれどもけふまでぞつれなきかひのしらねをもみつ」の歌が載る。また「海道記」に貞応二年(一二二三)四月一二日「手越の宿にとまりてあしを休む」、「十三日、手越を立て野辺をはるはると過、(中略)北に遠さかりて雪しろき山あり、とへは甲斐の白峯といふ」とある。弘安元年(一二七八)八月一四日の日蓮書状(日蓮聖人遺文)は「しらねのたけ、つねにゆきをみる」と記している。


白根山
しらねさん

金精こんせい山の南西、群馬県との境にある溶岩円頂丘の火山で、日光火山中の最高峰。標高二五七七・八メートル。東の前白根まえしらね(二三七三メートル)に対し奥白根おくしらね山、また群馬県の草津白根くさつしらね山に対し日光白根山ともよばれる。前白根山と五色ごしき(二三七九メートル)との間に五色沼、北の群馬県側の座禅ざぜん(二三一七メートル)との間には弥陀みだヶ池がある。男体山の奥院ともいわれ(日光山志)、日光修験の補陀洛夏峰の修行地。

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改訂新版 世界大百科事典 「白根山」の意味・わかりやすい解説

白根山 (しらねさん)

群馬県北西部,吾妻(あがつま)郡草津町の長野県境近くにある活火山。草津白根とも呼ばれる。本白根(もとしらね)山(2171m)と白根山(2160m)が鞍部を隔てて南北に対峙する双子火山である。基盤岩はおもに新第三紀の堆積岩や火山岩類からなり,北西部で標高2000m,南東部で900mの高さに位置し,基盤形態は南北で著しく非対称的である。その影響ですそ野は南東部に広く発達する。火山活動は本白根山地域に始まり,厚い白根凝灰角レキ岩層が形成され,次いで大規模な白根軽石流堆積物が流出して南東部に広いすそ野を形成した。続いて本白根山域と白根山から旧期溶岩が流出し,その直後に山頂部が陥没して馬蹄形カルデラが形成された。カルデラは,やがて現在の本白根山と白根山をつくる新期溶岩によって埋積された。その後白根山南東斜面に水釜,湯釜,涸(かれ)釜の3爆裂火口,白根山と本白根山との鞍部には弓池など多くの爆裂火口ができた。1805年(文化2)以来の噴火記録が残り,多くは湯釜が爆発しているが,1939年には弓池,76年には水釜でも爆発がみられた。湯釜の水はpH1.1の強酸性で,湖底の噴気孔から出る硫化水素によってエメラルドグリーンの神秘的な色を呈する。

 白根山は上信越高原国立公園に含まれ,東側山腹にアズマシャクナゲハクサンシャクナゲの群落(天)があり,標高1600m付近には多数の硫気孔により植物が育たず,動物が死ぬこともある殺生(せつしよう)河原がある。ここから山頂近くの逢ノ峰までロープウェーが通じる。スキー場の開発もすすむ。東麓に草津温泉,西麓に万座温泉があり,山頂付近を通る志賀草津道路(1992年無料開放)で志賀高原とも結ばれる。本白根山南麓一帯はかつて日本の代表的硫黄産地で,吾妻,小串(おぐし),石津,白根などの鉱山があったが,71-73年に全部閉山した。
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白根山 (しらねさん)

栃木県日光市と群馬県利根郡片品(かたしな)村にまたがる火山。草津白根山と区別して日光白根山ともいい,奥白根山ともいう。標高は2578mで,関東以北の最高峰である。石英安山岩の溶岩円頂丘からなり,北西に流れた溶岩流は片品川をせき止めて,菅(すが)沼,丸沼を出現させた。この火山活動は日光諸火山のうちで最も新しいと考えられる。1625年(寛永2)以来数回の噴火記録がある。この山を囲んで金精(こんせい)山,前白根山(2373m)などがあり,この間に五色沼,弥陀ヶ池があることから二重式火山と考えられたこともあるが,これらは外輪山ではなく,前白根山は第三紀噴出の流紋岩からなり,金精山は溶岩円頂丘である。日光湯元温泉,金精峠,菅沼から登山路が通じる。日光国立公園に属し,亜高山帯にはオオシラビソ,ダケカンバ,ミヤマハンノキなど,五色沼北西や弥陀ヶ池の西にはシラネアオイの大群落がみられる。避難小屋付近の奥白根平周辺も高山植物が豊富である。頂上付近は岩石帯となっており,山頂からは尾瀬の燧ヶ岳(ひうちがたけ),男体山をはじめとする日光連山,遠く富士山,日本アルプスなどを望むことができる。かつて,南の錫ヶ岳(すずがたけ)からこの山を通って五色山,温泉ヶ岳(ゆぜんがたけ)へと北上する修行登山が行われた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白根山」の意味・わかりやすい解説

白根山(白根三山)
しらねさん

山梨、長野、静岡3県にまたがり、赤石山脈(あかいしさんみゃく)北部にある北岳(3193メートル)、間ノ岳(あいのたけ)(3190メートル)、農鳥岳(のうとりだけ)(3051メートル)の総称で、一般には白根三山とよばれる。岩質は古期岩類に属する変成岩ないし堆積(たいせき)岩であり、氷食地形も残り、高山植物や動物の種類も多く、広河原(ひろがわら)などを中心に赤石山脈のなかでは多くの登山者に親しまれている。甲府または奈良田(ならだ)(早川町)からバスで広河原に入り、北岳、間ノ岳、農鳥岳の順で3山を縦走するのが一般的なコースである。

 歌枕(うたまくら)にいう甲斐嶺(かいがね)は白根山を意味するものと考えるより赤石山脈の山々と考えるほうがよいとされている。

[吉村 稔]

『朝日新聞社編・刊『週刊日本百名山no.5 朝日ビジュアルシリーズ鳳凰山・北岳』』『朝日新聞社編・刊『週刊日本百名山no.6 間ノ岳・塩見岳』(ともに2001)』『白籏史朗著『北岳・甲斐駒』(2001・ゼンリン)』『朝日新聞社編・刊『週刊続日本百名山no.5 朝日ビジュアルシリーズ鋸岳・農鳥岳・櫛形山』(2002)』



白根山(草津)
しらねさん

群馬県北西部、長野県境付近にある活火山。標高2160メートル。日光白根に対して、草津白根とよぶ。おもに安山岩の複合成層火山で、米無山(こめなしやま)(1871メートル)、本白根山(もとしらねさん)(2171メートル)、白根山(2160メートル)が南北に並ぶが、1805年(文化2)を皮切りに、1982~1983年(昭和57~58)まで、歴史時代の14回の噴火は白根山の水蒸気爆発に限られた。本白根山との鞍部(あんぶ)にある爆裂火口、弓池(ゆみいけ)での1902年(明治35)の噴火以外は、すべて頂部にある一連の涸釜(かれがま)、湯釜、水釜(みずがま)の3爆裂火口の内外でおき、ほとんどが湯釜であった。とくに1932年(昭和7)には、噴石で硫黄(いおう)採掘人夫2人死亡、7人負傷し、泥流も生じた。湯釜は直径約300メートルで、黄青色の熱湯(pH1.1の強酸性)をたたえ、硫化水素や水蒸気を放出し、湖底に硫黄を堆積(たいせき)している。この火山の山腹や山麓(さんろく)は、殺生河原(せっしょうがわら)などの硫気変質地帯や、草津、万座(まんざ)などの硫黄泉に富む。硫黄鉱床も多いが、石油からの回収硫黄に押され、1971年閉山された。上信越高原国立公園に属するが、第二次世界大戦後、自動車道路、ロープウェーなどが整備され、とくに1965年に志賀草津道路が全通し(現、国道292号)、観光登山客が激増した。冬もスキー客でにぎわう。火山活動監視のため地震計が常置され、前橋地方気象台で遠隔記録されている。

[諏訪 彰]



白根山(日光)
しらねさん

群馬県利根(とね)郡片品村(かたしなむら)と栃木県日光市にまたがる火山。草津白根に対して日光白根とよばれる。標高2578メートル。関東以北の最高点。前白根山などが外輪山をなす二重式火山のようにみえるが、前白根山は第三紀の流紋岩からなり、この西側山腹に石英安山岩の溶岩円頂丘とされる奥白根山ができた。溶岩は北西方向に流れて谷をせき止め、丸沼、菅沼(すげぬま)を形づくった。西方の蛍塚山(けいづかやま)楯状(たてじょう)溶岩や周囲の小円頂丘と複合している。日光諸火山のうちでももっとも新しい火山で、有史時代に入ってからも、1625年(寛永2)、1649年(慶安2。福島県会津地方まで降灰)、1872~1873年(明治5~6。利根川の魚被害)、1889年に噴火したが、すべて奥白根山の水蒸気爆発であった。第二次世界大戦後の1952年(昭和27)夏にも火山性異常現象(噴煙多量、鳴動)が認められたが、最近は噴気地域は存在しない。日光湯元温泉、金精(こんせい)峠、菅沼などから登山路が通じるが、いずれも健脚向きである。頂上付近は岩石帯であり、菅沼、燧ヶ岳(ひうちがだけ)、日光連山、富士山が見渡される。日光国立公園の区域に含まれる。

[諏訪 彰・平山光衛]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白根山」の意味・わかりやすい解説

白根山
しらねさん

群馬県長野県の境にある成層火山活火山で,常時観測火山。標高 2160m。栃木県と群馬県の境の日光白根(→白根山),赤石山脈(南アルプス)の甲斐白根(→白根三山)と区別して,草津白根とも呼ばれる。那須火山帯に属し,三国山脈の南西部にそびえる。南方の本白根山(2171m)と双子火山を形成,ほかに米無山(1863m),横手山(2307m)を含めていう場合もある。基盤は新第三紀の火山岩類で,山体は輝石安山岩および集塊岩で構成されている。文化2(1805)年に水蒸気爆発を起こし,以降小規模から中規模の噴火を繰り返している。涸釜,湯釜,水釜の三つの爆裂火口湖をもち,湯釜の湖底には硫黄が堆積している。上信越高原国立公園に属し,群馬県側の山腹に草津温泉万座温泉がある。志賀草津道路が通る。

白根山
しらねさん

栃木県群馬県の県境にある火山活火山で,常時観測火山。標高 2578m。奥白根山ともいわれ,群馬県と長野県の境にある草津白根(→白根山),赤石山脈(南アルプス)の甲斐白根(→白根三山)と区別して,日光白根とも呼ばれる。奥白根山,座禅山(2317m),前白根山(2373m)などの総称とされることもある。日光火山群の西端にあたり,新第三紀に噴出した流紋岩を基盤に,石英安山岩などからなる溶岩円頂丘型火山で,慶安2(1649)年,明治5(1872)年,1873年,1889年に噴火の記録がある。西方に爆裂火口のお釜,火山の噴出によりできた丸沼菅沼がある。山頂に白根権現がある。湯元温泉が登山起点。一帯は日光国立公園に属する。

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百科事典マイペディア 「白根山」の意味・わかりやすい解説

白根山(栃木・群馬)【しらねさん】

栃木・群馬県境にある活火山。日光白根山とも呼ばれる。標高2578m。東側の稜線は前白根山を中心とする外輪山,西の奥白根山は中央火口丘と考えられ,1873年までに数回噴火活動を記録。頂上に白根権現をまつる。男体山の奥院といわれ,日光修験(しゅげん)の場であった。北西山麓に丸沼,菅沼,東に五色沼などのせき止め湖がある。日光国立公園に属し,日光湯元,丸沼から登山路がある。
→関連項目金精峠菅沼日光[市]日本百名山

白根山(群馬)【しらねさん】

群馬県北西部,長野県境近くにある活火山。草津白根山とも呼ばれる。標高2160m。南にある本白根山(2171m)と双子(ふたご)火山をなす。山頂の噴火口底に三つの火口湖があり,湯釜は最大で,1882年以来数回活動。上信越高原国立公園に属し,シャクナゲ群落(天然記念物)がある。草津温泉に近い殺生河原からロープウェーが通じ,志賀草津高原ルートが山頂近くを通る。万座側からもリフトがある。山頂周辺は一部,有毒ガスの発生で立ち入りを規制しており,気象庁が観測を続けている。
→関連項目日本百名山

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事典・日本の観光資源 「白根山」の解説

白根山

(群馬県吾妻郡草津町)
関東・観光バスで行く名所100選」指定の観光名所。

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