キャブレターcarburetorともいう。ガソリンエンジンなどの火花点火機関において空気と燃料の混合気を燃焼室に供給するための装置。吸気管の途中にベンチュリー部を設け,その負圧を利用して燃料を吸入,霧化させて混合気を得る。用途に応じてそれぞれ独特の構造のものが発達しているが,基本構成はほぼ共通であり,負圧を生じさせるベンチュリー部,燃料を噴出するジェットノズル,燃料液面高さを一定に保つフロート(浮子)室,混合気量を制御し機関の出力調整を行うスロットル(絞り)弁,始動時などに濃い混合気を供給するためのチョーク弁,急加速時の燃料不足を補うための加速ポンプなどからなる。気化器を用いず噴射によって燃料を供給する方式に比べ,価格,取扱い,信頼性の点で優れ,さらに噴射式のように空気流量を検出する必要がないこと,電気部品を持たないこと,また燃料液滴の微粒化に優れ,機関の低速回転・低負荷時に良好な性能が得られるなどの利点がある。なお,気化器には燃料を気化させる働きはほとんどなく,その意味で気化器という訳語は誤解を招きやすい。
執筆者:酒井 宏
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ガソリン機関や灯油機関など液体燃料を用いる機関に、あらかじめ空気と燃料を適当な割合で混合して供給する装置。キャブレターcarburetorともいう。燃料と空気の混合割合は運転状態によって異なるが、ガソリンでは、重量割合はガソリン1に対し空気約15の割合で、容積では空気はガソリンの50倍程度の量が必要である。
気化器の原理は霧吹きと同じで、ベンチュリーという狭い所を空気が高速で通過するときの負圧で燃料を吸い出し、細かい霧状の液滴にして空気と混合する。燃料を吸い出す力は、ベンチュリー部の圧力と大気圧の差と、燃料吹出しノズルの先端と燃料溜(だ)めの燃料面の高さの差によって決まるので、燃料溜めの液面の高さを一定にするために、フロート弁のついたフロート室がある。
機関の必要とする空気量は絞り弁で調節するが、ベンチュリーの大きさが一定のときは、吸入空気量が多くなると燃料が少なくなり混合気が希薄になる。このような欠点を補うためにくふうが加えられ、多種類の気化器がある。さらに排出ガス規制が実施されてから混合比を一定に保つ電気的な調整機能をもつ気化器もつくられている。
気化器には、空気の流れ方によって上向き型、下向き型、横向き型に分けられ、ベンチュリーの構造によって固定ベンチュリーと可変ベンチュリーに分けられる。固定ベンチュリーでは前述の理由により、二つ以上のベンチュリーをもつ場合が多い。
[吉田正武]
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…83年G.ダイムラーは高速化により軽量化した小型4サイクルガソリンエンジンをつくり,85年二輪車を,86年四輪車を走らせた。混合気の点火は熱した管によって行い,また気化器にはガソリン液柱の底から空気を通して気化する方式を採用していたが,このダイムラーのガソリンエンジンが実用的なガソリンエンジンの最初といえる。一方,C.ベンツも86年に電気火花点火式の4サイクルガソリンエンジンをつくり,三輪車を走らせた。…
※「気化器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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