浮子(読み)フシ(その他表記)float

翻訳|float

デジタル大辞泉 「浮子」の意味・読み・例文・類語

ふ‐し【浮子】

漁・釣り用のうき。

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精選版 日本国語大辞典 「浮子」の意味・読み・例文・類語

ふ‐し【浮子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (つり)に用いるうき。〔鶏肋編〕
  3. 水中に浮遊している物。〔稿本化学語彙(1900)〕

あ‐ば【浮子・網端】

  1. 〘 名詞 〙 ( 網の端の意 ) 魚網を浮かすための木片、樽(たる)の類。時におもりにする石の類をもいう。あんば。〔和訓栞(1777‐1862)〕

うき‐こ【浮子】

  1. 〘 名詞 〙 魚網の上縁につけて網を水面に浮かべるうき。桐などの木材、竹、コルク、ガラス製のびん、ゴム輪などを用いる。網端(あば)。あんば。たが。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「浮子」の意味・わかりやすい解説

浮子
あば
float

網漁具では漁具上辺に取り付けられ、漁具の形状を保持し水面に支えたり、上方に展開させる役目をする資材。釣り漁具としては、浮き、浮け、浮かしなどともよばれ、錘(おもり)と併用して釣り針を所定の水深に保持する役割がある。材質的な条件として浮揚力の大きいこと、水中に浸漬(しんせき)中に吸水による浮揚力の減少が少ないこと、水圧・波浪による破損が少なく、破損・腐食しにくい堅牢(けんろう)な材質でできていること、自由な形状に加工が容易であることが望まれる。

 従来はタケキリマツヒノキスギ、コルクなどの天然素材が用いられ、ついでガラス玉、ゴム球、鉄製浮子などが出現したが、現在はおもに合成樹脂の塩化ビニルポリエステルポリエチレン、ウレタン、ABS樹脂、合成ゴムなどが使用されている。形態・構造的には、平形、円球形、ロープ止め用の取っ手を有するもの、楕円(だえん)形、中央に貫通孔のあるもの、発泡体成形(硬質、軟質)など多種多様で、それぞれの漁具の目的に応じて使い分けられている。

[添田秀男・吉原喜好]

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改訂新版 世界大百科事典 「浮子」の意味・わかりやすい解説

浮子 (あば)
buoy
float

網漁具を水中で所要の形状に保たせるには,通常,浮力と重力という上下に働く力をうまくつり合わせる。このとき要する浮力を得るのに用いられるのがあばで,うけ,うかしなどともいう。あばの大きいことがまず必要だが,水中にあって時間がたつとともに吸水したり,また水圧で変形したりして浮力が変化することがなるべく少ないのがよい。また加工が容易で,安価に大量に供給されるものが望ましい。昔はキリを第1等とし,タケ,コルク,マツ,スギなどの木材を用いたが,吸水の面で問題があった。その後,中空のガラス球,ゴム球などが用いられたが,現在ではほとんどプラスチック製に変わっている。合成ゴム,塩化ビニル,ポリエステル,ポリエチレン,ポリスチレン,ABS樹脂などがあるが,耐圧性,耐衝撃性などを勘案して使い分けている。形状は従来の型を踏襲した球形,円筒形,棒状,楕円板状などさまざま。なお網漁具上部のあばを取りつける綱を浮子綱(あばな)という。
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普及版 字通 「浮子」の読み・字形・画数・意味

【浮子】ふし

うき。

字通「浮」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の浮子の言及

【ブイ】より

…水面上に浮かんで位置を標示する浮体をいい,標示内容や方法に応じて浮標,浮環,浮具などとも呼ばれる。ブイには航路標識の浮標や係船浮標のように係留されるものと,救命浮環のように係留されないものとがある。航路標識の浮標は航路や暗礁などを示すもので,その存在とともに種別を明確に示す必要があるため,塗色や形状が浮標式により定められている。係船浮標は係留される船舶の運動範囲を制限し泊地の限られた水面を有効に利用するために用いられるもので,浮標係留鎖の水面上の端部を示す。…

【水上機】より

…水上に発着するように作られた飛行機。ふつうの飛行機(陸上機)と違って車輪式の着陸装置がなく,代りにフロートfloatと呼ぶ舟形の浮きを機体の下につけていて,これで水に浮き,水上を滑走して離水や着水をする。胴体がフロートを兼ね,舟形の艇体となっているものは,ふつう飛行艇と呼んで水上機とは区別する。…

【着陸装置】より

…航空機が地上にあるときその脚になる部分で,降着装置ともいう。離着陸の際に滑走しなければならない飛行機では車輪式が多いが,ヘリコプターやグライダーではそりを利用したそり式着陸装置もよく見られ,また雪上ではスキーが用いられることもあり,水上機には舟形をした浮きのフロートfloatが使われる。エアクッション式の着陸装置も研究されている。…

※「浮子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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