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汎スラブ主義 はんスラブしゅぎPan-Slavism

翻訳|Pan-Slavism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

汎スラブ主義
はんスラブしゅぎ
Pan-Slavism

スラブ諸民族の連帯と統一を目標とする思想運動。元来この運動は,オーストリアハンガリーオスマン帝国などに圧迫されていた西・南スラブ諸族 (特にチェコ族) におけるナショナリズムの覚醒に伴って始り,この動きは 1848年のプラハ会議に結集された。しかし 60~70年代にこの運動はロシア帝国主義南下政策と結びつき,汎ゲルマン主義に対抗するものとなった。ロシアを盟主としたこの汎スラブ主義運動は,67年のモスクワ会議に象徴されるが,ロシアの大国主義に対する諸民族の不満を内包していた。 1946年ベオグラードで開催された全スラブ民族会議は新たな汎スラブ主義の動きとして注目されたが,国際政治の多極化とともに現在では顕著な動向はみられない。

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デジタル大辞泉の解説

はんスラブ‐しゅぎ【汎スラブ主義】

スラブ系諸民族の連合・統一をめざした思想・運動。バルカン半島東欧におけるスラブ民族の、トルコやオーストリアの支配からの解放運動として始まり、19世紀後半、ロシアの南下政策と結びつき、ドイツ‐オーストリアの推進する汎ゲルマン主義と衝突した。

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大辞林 第三版の解説

はんスラブしゅぎ【汎スラブ主義】

スラブ諸民族の統一を目指す思想および運動。一九世紀半ば、オスマン帝国・オーストリアに対抗しようとする東欧・バルカンのスラブ諸民族の独立・団結運動に端を発し、南下政策をとるロシアによって主張された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

汎スラブ主義
はんすらぶしゅぎ
Pan-Slavism

スラブ諸民族を共通の政治・文化的目標のもとに結集させようとする思潮および運動。ロシアでは19世紀中ごろ、クリミア戦争の敗北、ポーランド蜂起(ほうき)の鎮圧を契機として、ダニレフスキー、ストラーホフ、コシェリョーフらによって、西ヨーロッパとは異なった歴史・文化を有する諸民族の同盟の不可避性が強調された。他方、ロシア、オーストリア、トルコ諸帝国の支配下にあった東ヨーロッパ、バルカン諸国においては、チェコスロバキアのドブロフスキー、セルビアのカラディチらによって、民族の独立と連邦あるいは国家連合の結成が主張された。1848年ヨーロッパ革命の最中に開かれたプラハ会議に示されたように、これらの主張は「革命的」性格を強くもち、とくにポーランドにおいては反ロシア的色彩が濃かった。ロシアのツァーリ政府は1860年代以後、とくに70年代末のロシア・トルコ戦争の時期以降、国内や東ヨーロッパ諸国におこったこの思潮を自国の版図拡大政策に利用した。
 20世紀に入って自由主義・立憲主義の流入の影響で一時下火となったが、第一次世界大戦においてはドイツの汎ゲルマン主義と衝突し、排外主義を鼓するロシア帝国主義の反動的イデオロギーとしての機能を果たした。第一次大戦後ロシア革命の成功とスラブ諸民族の独立の結果、汎スラブ主義は歴史の舞台から消え去った。[池庄司敬信]

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