スラブ(英語表記)slab

翻訳|slab

デジタル大辞泉 「スラブ」の意味・読み・例文・類語

スラブ(Slav)

インド‐ヨーロッパ語族の中の、スラブ語を使う民族の総称。原住地はカルパチア山脈の北方と推定され、民族大移動のとき東ヨーロッパ一帯に拡散した。東スラブ族ロシア人・ウクライナ人・ベラルーシ人など)、西スラブ族(ポーランド人・チェコ人・スロバキア人など)、南スラブ族(セルビア人・クロアチア人・ブルガリア人など)に大別される。ヨーロッパ最大の民族。

スラブ(slab)

登山で、一枚岩のこと。また、比較的傾斜の緩いなめらかな岩場
橋や建築物などに用いる、鉄筋コンクリート製の厚い床板
海溝においてマントル中に沈み込んだ海洋プレートのこと。
雪粒同士が強く結合し、板状になった雪の層。この層が破砕して生じる雪崩を面発生雪崩という。→スラフ

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精選版 日本国語大辞典 「スラブ」の意味・読み・例文・類語

スラブ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] slab )
  2. 登山で、一枚岩のこと。ふつう、滑らかな板のような岩場をさす。〔登山技術(1939)〕
    1. [初出の実例]「苔つきのスラブにナナカマドが根を張っているが」(出典:氷壁(1956‐57)〈井上靖〉一〇)
  3. 圧延鋼材で、断面は矩形で、多くは厚さ四五~一八〇ミリメートル、幅二〇〇~五〇〇ミリメートル、長さ一~五メートル程度に圧延したもの。厚鋼板帯鋼の素材。

スラブ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Slav ) スラブ族のこと。〔舶来語便覧(1912)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スラブ」の意味・わかりやすい解説

スラブ
slab

大陸プレートの下のマントル内に沈み込んだ海洋プレート。スラブの存在や形状は,深発地震震源分布から推定されている。また,地震波トモグラフィーによる地球内部構造の研究から,海溝から深部マントルへと向かう地震波速度の高い領域に分布することが明らかになっている。スラブは周囲のマントルに比べて温度が低く,地震波速度の異常として検出される。こうした研究が世界のプレートの沈み込み帯で行なわれた結果,沈み込んだプレートが,上部マントル下部マントルの境界付近のマントル遷移層で動きを止めて,蓄積していることが示唆された。プレートの沈み込み速度が停止した部分をスタグナントスラブ stagnant slabという。スラブ内部では,構成鉱物が相転移して高圧鉱物であるペロブスカイト (Mg,Fe)SiO3 やリングウッダイト (Mg,Fe)2SiO4 が生成されている。こうした高圧鉱物は周囲に比べて比重が大きいため,プレートの沈み込みの原動力を生み出す要因となっている。スラブ内での引っ張り応力が強くなると,スラブが断裂することがある。この場合,沈み込んだスラブの浅い部分が海溝へと向かって逆流し,地球深部に運び込まれた岩石が地表付近に戻ってくる。こうした岩石が露出している場所が沈み込み帯で帯状に分布する高圧変成帯(→広域変成帯)である。東北日本弧の下に沈み込んだスラブ内では深発地震が多発する領域が 2層になっており,二重深発地震面と呼ばれている。

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百科事典マイペディア 「スラブ」の意味・わかりやすい解説

スラブ

地球内部のアセノスフェアあるいはマントル中に沈みこんだ海洋プレートの一部。まわりのアセノスフェアよりも温度が低いため地震波高速度異常や低減衰領域として現れる。下部マントルのスラブは地震をともなわないため確認できなかったが,地震波トモグラフィー断層撮影)によりその存在が指摘された。

スラブ

スラブ語を用いる人びとの総称。東欧を中心に分布し,東スラブ(ロシア人,ウクライナ人,ベラルーシ人),西スラブ(ポーランド人,チェコ人,スロバキア人),南スラブ(ブルガリア人,セルビア人,クロアティア人,モンテネグロ人,マケドニア人)の三つに大別される。宗教的には南・東スラブ人にギリシア正教,西スラブ人にカトリックの影響が濃い。→スラブ語派

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不動産用語辞典 「スラブ」の解説

スラブ

建築上、鉄筋コンクリート構造における床板のことを「スラブ」といいます。
一般的に、分譲マンションでは、上下階に響く騒音を防ぎ遮音性を高めるため、スラブの厚さを20cm程度としています。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「スラブ」の解説

スラブ【slab】

建築物の床構造の一つ。垂直方向の荷重を受ける水平面で、鉄筋コンクリート造の厚い床板をいうことが多い。◇「床スラブ」の略。「床版(しょうばん)」ともいう。

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リフォーム用語集 「スラブ」の解説

スラブ

コンクリート製の長い板または床版。鉄筋コンクリート造における、上階住戸と下階住戸の間にある構造床の事。

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世界大百科事典(旧版)内のスラブの言及

【圧延】より

… 鋼の圧延素材としては,多くの場合鋳造によって得られるインゴットなどが用いられる。インゴットの場合には,均熱炉で約1200℃に熱して内部の温度分布を適切な状態にし,次に分塊圧延機にかけて,鋼塊の粗大な鋳造組織をこわしたり,気泡などを除いて,スラブ,ブルーム,ビレットなどの中間段階にまで加工する(分塊圧延)。インゴットを鋳造する際に直接この中間段階のスラブなどに加工する方法があり,これを連続鋳造という。…

【製鉄・製鋼】より

…鋼塊鋳型には,正方形(条鋼用),矩形(条鋼,鋼板用),扁平形(鋼板用),丸形(鍛鋼用),多角形(鍛鋼用)など各種がある。鋼塊は分塊圧延によって角形断面をもつスラブslab(厚さ50mm,幅300mm以上),ブルームbloom(1辺130mm以上),ビレットbilletなどの中間製品にしたのち,各種の用途に振り向けられる。鋼塊の鋳込法には鋳型の上方から注入する上注法と,湯道を通って鋳型の下方から注入する下注法がある。…

【橋】より

…交通物がのる橋床は直接に,あるいは縦桁や横桁(床桁ともいう)を介して主桁に支えられる(図1-b)。道路橋の橋床は鉄筋コンクリートスラブがもっとも多いが,長い支間の鋼橋では軽量の鋼床板が用いられることがある。鋼床板は鋼板を縦横の補剛材で補強して大きな荷重に耐えられるようにしたもので,鋼板の上にはアスファルト舗装をする。…

※「スラブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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