決め込む（読み）キメコム

デジタル大辞泉

きめ‐こ・む【決め込む／^▽極め込む】

［動マ五（四）］
１ 事実がどうであろうと、自分で勝手にそうだと決める。思い込む。「できないと―・んでいる」
２ そうすることに決めて押し通す。意図的にそうする。「ねこばばを―・む」
３ そのつもりになって、いい気でいる。「画壇の大家を―・む」
[類語]（1）決め付ける・決めて掛かる・極印を押す・烙印を押される／（2）見せ掛ける・装う・偽装する・粉飾・狂言・カムフラージュ・芝居を打つ

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

きめ‐こ・む【決込・極込】

1. 〘 他動詞 マ行五（四） 〙
2. ① 中にはいる物が、入れ物にすきまなくうまく合うように入れる。ぴたりとはめ込む。
   1. [初出の実例]「羊羹の折のなかへすっぽりときめこませ」(出典：滑稽本・七偏人（1857‐63）初)
3. ② はっきり決める。きちんと決めてしまう。
   1. [初出の実例]「自分は予め題を決めこまず、もっと漠然たる自由な気持で思ひ出づるままにとも角も此回想記を書いて見る事にきめた次第である」(出典：竹沢先生と云ふ人（1924‐25）〈長与善郎〉竹沢先生の顔)
4. ③ 事実や事の有りように関係なく、そうと決める。思い込む。ひとりぎめにする。
   1. [初出の実例]「先生は日本第一のいい顔をした人だと私は独り決め込んで居た」(出典：大津順吉（1912）〈志賀直哉〉一)
5. ④ ( 「…を決め込む」の形で ) 事情はどうあろうと、ある行動や態度を押し通す。きめる。また、そうすることにする。
   1. [初出の実例]「サアサアここらでいちばんすくひあげをきめこまう」(出典：西洋道中膝栗毛（1870‐76）〈仮名垣魯文〉八)
   2. 「我夫(あなた)、仮睡(たぬき)などきめ込んでる時じゃありませんよ」(出典：火の柱（1904）〈木下尚江〉四)
6. ⑤ 自分がそうであるつもりになる。得意になってあるふりをする。きどる。
   1. [初出の実例]「五六日前の晩に下谷の摩利支天へ小町田と二人で、ぶらぶら義任（犬の川ばたといふしゃれ）をきめこんだが」(出典：当世書生気質（1885‐86）〈坪内逍遙〉一七)
   2. 「彼は余念もなく、アンドレア、デル、サルトを極め込んで居る」(出典：吾輩は猫である（1905‐06）〈夏目漱石〉一)
7. ⑥ 強く非難する。また、きつい調子で一方的に言う。きめつける。

出典　精選版 日本国語大辞典